40からのチャレンジ 感動の目撃者 アンリ・ルソー
箱根のポーラ美術館に行ってきました。
ここは私の気に入っている美術館の一つです。
山々を見渡すようなガラスのドームになっているエントランスをくぐると、もう心はアートの世界に誘われています。
今、ポーラ美術館では、 「アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち」という展覧会をやっています。
ルソーは昔から大好きな画家でしたので、ルソーを見るのが目的でロマンスカーに飛び乗ってしまいました。
ルソーは遅咲きの画家。
本格的に絵を描き出したのは40歳のときのことです。
その人生は苦難の連続でした。
サロンに出品し落選した作品が、落選者の集まりである「グループ・デ・ザルティスト・ザンデパンダン」展においても、酷評を受けるほど。
しかし、ルソーは諦めません。
コンクールやサロンに落ちても、また落ちても、何度でも出品するのです。
その後亡くなる3年前、絵が売れるようになるまで、彼の絵はパリの画壇で揶揄と嘲笑の標的でした。
私生活でも、早くに妻を亡くし、7人いる子供のうち5人とも幼少時に亡くしています。
今回初めて知ったのですが、音楽家としても活躍していたようで、バイオリンのための作品などを作曲しています。
会場で、ルソー作曲の『ヴァイオリンもしくはマンドリンのための序奏付きワルツ』の演奏を聴くことが出来ました。
作曲家としてよりは、やはり絵の才能のほうがダントツに凄いのではないかな、と思いました。
しかし、ルソーはそんな人生も割と楽しんでいたように思えます。
「ルソーの夜会」というのを開催し、そこにはパリの芸術家たちが集まっていました。
それは、ルソーを敬愛するピカソの発案で始まり、詩人のアポリネール、彼の恋人で画家のマリー・ローランサンなども常連だったようです。
お金がなくても、安いワインやビスケットなどを客人にふるまい、夜会が終了すると「今日の夜会は成功」といつも満足そうに言っていたそうです。
私がルソーの絵で特に素晴らしいと思うのは、生き生きとした植物たち。
ルソー自身行ったこともない熱帯のジャングルに想いを馳せて描いたであろう、その色彩とリズム感に魂が奪われてしまうのです。
ルソーの絵は真ん中に一人の人間、または動物がいることが多いですね。
心を打たれる風景に出会い、目を見張って息をのんでいる一人の画家を象徴しているようです。
ルソーの人生を思いだすと、心が締め付けられるような感動があります。
しかし、人間って40歳からでも人生好きなことを始めて大成することができるんですね。素晴らしいと思いました。
この展覧会、無休で2011年の3月13日まで開催しています。