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「家事なんかするな」 クルム伊達公子 本当の強さ

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クルム伊達公子
引退前は、小柄な体で海外の選手とも全く互角に戦い、日本女子テニス選手としては初のランキングトップ10入りを果たします。
一見おとなしそうな表情の彼女は、コートに立つと内に秘めた京女の強さを爆発させます。
不本意な試合には「サイテー、サイアク!」と京都弁のイントネーションで感情をむき出しにする。
国際的プレイヤーになり、苦手の記者会見も堂々としてきた。
そして最高の舞台、1996年、ウィンブルドンで女王シュテフィ・グラフとの死闘。
本当に、美しく光り輝いていた。
 
それを見ていて将来はこんな女性になりたいと思いました。今でもあこがれる女性の一人です。
 
しかし、中田英寿さんと同じく、燃え尽きて・・・・早すぎるかと思われる引退。
 
その伊達公子さんが2008年にテニスコートに帰ってきて、9月28日に東レ・パンパシフィックオープン2回戦での勝利とともに、なんと40歳の誕生日。
周囲はほとんどが10代ばかりの中、一歩もひけをとらないあの気迫、闘争心、キレのあるテクニック、そしてクレバーな試合運び。そして、永遠に変わらないキラキラとした公子スマイル。
しかし、ただやりたくなったから、などという生半可な気持ちでテニスをしているわけではないと思います。トレーニングや体調管理、メンテナンスなど、見えないところで大変な努力をしているのではないでしょうか。
彼女を見ていると背筋がピッとして、元気がもらえるのです。
 
そんな彼女も、復帰前は、子供達にテニスを教えたり、フルマラソンに挑戦したり、クラッシックバレエのお稽古をはじめたり・・・。ポルシェで稽古場に通う彼女もなんだかかっこよかったですが、でも伊達さんがバレリーナというのもしっくりこないなあ、と思っていました。
燃える人、伊達公子は、テニスから次に自分がかけられるものを模索していたのかもしれません。
 
恋多き彼女も、最高のお相手、レーシングドライバーのミハエル・クルムさんと結婚。彼との結婚が人生を大きく変えたのではないでしょうか。
 
結婚したばかりの頃は、彼のために完璧に家事をしたり、ご飯を作らなくてはと思っていたそうです。それを見ていたクルムさんは「僕の世話なんかする必要はない。どうでもいいことに縛られていると思った。あんなに才能あるのに、家を片付けてるだけではもったいない。作りたいとき以外は二人で外食すればいいじゃないか。料理をするより自分の人生を生きて欲しい。」と言ったそうです。
 
引退前絶頂期の伊達さんは、ぴりぴりした緊張感の中、孤独を全身から滲ませて闘っていたように思えました。
しかし、今は孤独の影はありません。満面の優しい笑みで心から試合を楽しんでいるように感じます。
 
夫クルムさんの支えが、彼女をさらに精神的に強くしているように思えます。
強さがあるからこそ優しくなれる、優しさがあるからこそ強くなれる。
彼女を見ていてそんなことを思いました。

*2011年1月20日訂正 F1ドライバー→レーシングドライバー 

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