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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

クラウドで勝つのは誰だ

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 米国時間の6月24日、25日と立て続けに、MicrosoftとOracle、Salesforce.comとOracleという、ライバル同士がクラウドで提携するという発表があった。互いを罵りあうことがあっても、まさか握手をすることがあるなんて。

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1307/08/news035.html

Weekly Memo:違いが見えてきたMicrosoftとOracleのクラウド戦略 - ITmedia エンタープライズ via kwout

 松岡さんもこの記事で書いているが、提携発表の背景にAmazon Web ServicesやGoogleの姿があるのは間違いないだろう。とはいえ、宿敵と手を結ぶという決断に至るまでには、担当者なりにはどんな葛藤があったのだろうか。

 これら一連の提携に関する自分なりの考えを別途記事にしたので、詳細はそちらを参照してもらえればと思うところ。ポイントとしたのは、この2つの提携、タイミング的にほぼ同じ時期だったが、内容的にはまったく異なるものだということ。

 簡単にいってしまえば、MicrosoftとOracleの提携は発表としては大きなものだが、実際に大きな変化につながるような具体的な協業にはおそらく発展しなさそうだ。対してSalesforce.comとOracleのほうは、場合によってはこりゃあけっこう面白いことになるかもしれない。記事にはほら話になるかもとして書いたが、今後の予測としてはあのOracle CEOであるラリー・エリソン氏の後継者が、じつはSalesforce.comのCEOであるマーク・ベニオフ氏なのかもしれないということ。

 これ、じつは、私個人だけの見解ではない。あの発表のあとに何名かの業界筋の人たちと話をした。そのうちの何人かはこの話を持ち出したり、私がこの話をすると同意してくれたりしたのだ。これはまんざら、ない話でもないのかもしれないと思ったり。まあ、数年後には、これが嘘か誠か明らかになるだろう。

 とはいえ、こういう業界の動きを見ていると、確実にクラウドの世界は第二フェーズに入ったなと感じる。一連の動きを先導するAmazonWeb Servicesの強さは、しばらく衰えそうにない。Googleも新たな動きを見せそうで、これまた目が離せない。そして今回話題を作ったMicrosoft、Oracle、Salesforce.comというエンタープライズで実績も規模も歩き牛がおとなしくしているはずもない。忘れてはならない、IT業界の巨人IBMも、虎視眈々とクラウドのメインのステージを狙っている。

 はたから取材して記事を書いている立場としては、こういう動きは「面白い!」で済ませることができる。しかし、彼らと一緒にビジネスを進めている多くの企業は、どことどう付き合っていけば良いのか、その見極めはかなり難しそうだ。当然ながら、そんな彼らからサービスを買うことになるユーザーサイドも、賢く動向を見て選択する必要がある。ということで、これからも取材を続けて、少しでも選択のための参考となるような記事が書けたらなと思っているところだ。

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