謎のXの正体、Oracleがハードウェアベンダーになった日
OracleのExtreme Performance。このXの正体は。。。。。
ラリーとともに写真に写っているのが、Xの正体。これは「The Exadata Progamable Storage Server」というストレージハードウェアを搭載したOracle Databaseのいわゆるアプライアンスサーバーだ。そう、Oracleはこの日から初めて、Xというハードウェアを提供するベンダーになったのだった(もちろん自社で製造するのではなくHPとの協業だけど)。
このXのことを思いついたのは、Oracleのラリー・エリソン氏のもう1つの仕事であるヨットレースでのことだとか。アメリカズカップに勝利するためには、なにか革新が必要であり、その結果生まれた新たなヨットが右の写真。いわゆるカタマラン(双胴)の上をいくトライラン型で3つの胴をもつ。これで、水面を滑るように走るのだとか。これで次回のアメリカズカップでの勝利を目指す。
で、トライランの革新と同じようなことを、本業(?)のOracleでもできないかと考えた結果が今回のXなのだとか。とにかくここ最近、200TBを超えるようなデータウェアハウスがどんどん生まれているとか。現状のストレージは、巨大なデータをストアすることはできるけど、データ転送のバンド幅に限界があり、データをサーバーに移動することは苦手。そういった巨大なデータベースで、フルスキャンが発生するような検索が走ると、いったんすべてのデータをサーバー側で読み込まなければならないので、当然ながら結果はなかなか返ってこない。「だいたい1TBくらいから動きが極端に緩慢になる」とのこと。
10TBでは、どんなに高価で速度の速いストレージでも極端に遅くなるとか。これを解決するには、1つには転送するデータの量を少なくすること、もう1つが転送のバンド幅を広げることだ。
これを解決する手段として、OracleとHPの協業により生まれたのが、「The HP Oracle Database Machine and HP Oracle Exadata Storage Servers」だ。構成としては、こんなイメージとなる。
この絵を見ると、ノードとディスクが2本のインフィニバンドで接続されている。これで1GB/secのデータ転送スペックとなるとか。全体のスペックはこんな感じ。
最初の絵だけを見ると、Oracle Databaseに最適化されたクエリーエンジン(最小限のOracle Database 11g)が載るインテリジェンスディスク(Storage Grid)が、データベースサーバーのノードと1対1に結びつけられていて、一瞬ディスク共有しないアーキテクチャーになったかのように見える。ただし、上のスペック一覧を見ると、はっきりとディスク共有型のOracle Real Appliation Clustersとあるので、実際はどうやらディスク側でRAC構成となっているのだろう。
これにより、ディスク側でクエリーが済んでしまうのでサーバーには答えだけを返すことができ、サーバーとディスクの間のデータ転送量は劇的に減ることは理解できる。この仕組み、もちろんデータウェアハウスなどの検索系のシステムに最適化されているのだけれど、RAC化されているので可用性も確保できOLTPにも使えるとのことだ。
このXについては、おいおいもう少し技術的に詳しい情報も出てくるだろう。そのあたりは理解できたら再びここで解説できたらと思う。この製品、当面のターゲットは、データウェアハウス専用と呼ばれるシステムを提供しているところだろう。こんな比較表も示された。
すでにいくつかの顧客でこの仕組みはテストされていて、どこも相当パフォーマンスが上がったとコメントしている。ちなみに、現状では日本での提供がどうなるかは未定とのこと。このあたりも含め今後のOracleからの情報発信をウォッチしておく必要がありそうだ。実際のラリーの講演雰囲気については、以下でも味わってみて欲しい。