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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

誰かに監視されている

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 年末年始にAXNで放送された「スティーヴン・スピルバーグ TAKEN」というSFドラマを、もう少しで見終わるところだ(2時間ものの全10話一挙放送を全部録画した)。内容は、1947年のロズウェル事件を発端に、エイリアンとそれに関わる家族の葛藤、戦い、そして政府の陰謀といったことが絡み合い、数世代に渡った人間とエイリアンの新たな接触の様子を描いている。

 この物語のなかでは、攫われた地球人の鼻の奥(というか脳)に米粒状の発信機を埋め込み、エイリアンが攫った人間を追跡できるようにしている。これによってどこにいてもエイリアンからは把握されていて、一度攫われるとその後何度も攫われ継続的に実験、観察されているというのだ。米粒大の金属状の発信機には、もちろん動力源がない。数年前ならそんなものがなんらか電波を発信し続けるなんてことは信じ難かったが、現在なら人類の技術でも同様なことが可能そうだ。

 米国の監視サービス会社が、自社製品テストのために従業員2人の体内にシリコンチップを埋め込んだという。ペットの識別用に生体にICタグを埋め込むというのは、すでに英国などでも実施されている。今回の人間に埋め込まれたチップは受動的なもので、チップ自体がなんらか信号を発信するわけではなく、これで個人の行動を追跡するような使い方はできないそうだ。

 とはいえ、これを実施したCityWatcher.comは、犯罪多発地域においてインターネット監視とカメラ提供で6都市と契約を結んでいるとのことなので、これに発信型のICタグを組合わせれば、さらなる強力な監視ソリューションが出来上がるのではと、想像を膨らませてしまう。

 日本でも米国と同様、16歳以上の外国人入国者に対して指紋を採取するよう入国管理法を改正するとか。時代は、より管理強化の方向に進んでいると感じてしまう。テロなどの脅威に対し監視、管理を強化すると考えれば、ICタグをすべての国民に埋め込むという発想も理解できなくもない。CityWatcher.comの場合は、前腕の表皮直下にICタグを埋め込むとのことなので、傷ついて痛いことを我慢すれば自分でICタグを取り出してしまうことも可能だろう。実際に管理のためにICタグを埋め込むには、容易には取り出せず、かつ絶対に偽装できない仕組みになっていなければならない。

 ちなみに、TAKENでは脳の中に埋め込まれているので、人類の外科手術の技術では取り出せないという設定になっていた。技術的な課題とモラル的な課題はあるものの、TAKENのエイリアンの世界のように、どこにいても誰かから常に監視されているという時代は、そう遠い将来の話ではないのかもしれない。

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