学生へのメール
大学を卒業して、内定をもらいながら、結局、就職を選ばなかった学生からメールで連絡があったので、以下のような返事を返しました。
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お久しぶりです。森戸です。
内定辞退していたんですね、少々、驚きました。
アドバイスというのは、なかなか難しいのですが、私が感じていることを書きます。
最近の若い人たちを見ていて感じているのは、
早い段階から自分の価値観や自分のスタイル
というものをつくりすぎて、社会に適応できなくなっているということです。
社会に出てない学生という身分で経験してきたこと、親の保護下で自由にさせてもらった中で感じたことは、けっこう自分本位で狭い世界でつくりあげた自分像ではないかと感じています。
実際に人間というのは、世の中に生をうけて最終的に死ぬまで、社会という中での自分の役割を全うするという普通の動物とおなじような生き方をしていくものだと思います。
それであれば、自然の摂理の中で、どのようなコミュニティに属したとしても、周囲の自分への期待へ応える、ということを愚直におこなわないと居場所も見えないことになってしまいます。
就職も『縁』の世界で、学生には決まったところが最初としてはベストな場所で、そこで全力をつくして、その場所にいる人たちから絶対的な信頼を得ることにまい進しないと何も見えないと教えています。
社会でリーダーとして活躍している人たちの多くは、自分が望んだ望まなかったに関わらず、最初の職場で絶対的な成果を出してから次のステップを目指しています。
どのような資格を持っているか、職場が好きか嫌いかということではなく、今、自分がいる場所で最高の実力を出せていないということは、自分の考え方が間違っている、と考えた方が正しいと私は思っています。
社会というのは自分がどのように見るかで、良くも悪くもなります。
仕事も同じで、つまらない仕事に見えるのは自分がつまらない人間だからそのように見えているだけで、自分を変えないとどの仕事でも同じようにつまらないものに見えてしまいます。
ということで、とりとめもない話になってしまいましたが、私が経営している今の会社も経営している私たちが社会に必要だと思っているサービスを提供しているだけで、その仕事が楽しい楽しくないという次元の話ではなく、社会に必要とされているのであれば誰かがそのサービスを提供しないといけない、それを提供できている自分たちを自分たちで認める、ということが一番必要なことと思っています。
私は、最初の会社で、非常に厳しい環境の中で、どのような仕事であれ楽しむ、ということの重要さを学びましたし、その環境を与えてくれたことに今でも感謝しています。
しかし、それを身につけるのに10年かかりました。
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生きてきた環境も違いますし、彼らの年齢の2倍の歳になってしまった私がアドバイスできることと言えばこれくらいのことになりますが、
自分のスタイル
というものを早い段階からつくらないといけないと焦っている学生や若手世代を見ていると、非常に危ういものを感じてしまいます。