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第二新卒市場の活況化は何を物語るのか?

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かつて終身雇用形態が企業の雇用形態として一般的であった時代には、従業員は企業に入社すると辞めにくい特有の雰囲気がありました。それまで積み上げてきたものを放棄しても一からやり直すのかという上司や先輩社員からの無言のプレッシャーです。この会社の中で積み上げてきたものという不透明な既得価値が会社への帰属意識につながっていたようにも感じます。退職金や年金という明確なもの以外にも、職場で構築した人間関係や環境を変えることのリスクなども関係して終身雇用制度という日本的な人材管理制度は長年機能してきたと思うこともあります。

その終身雇用制度が崩壊して、大学卒の新入社員の3割が職場を離れるという時代になってきました。今まで会社への帰属意識の根底として終身雇用があったということも考えると理解できないこともありません。

企業側の論理で考えると新卒社員が3年で辞めてしまうと大きな損失が生じます。大手企業と中小・中堅企業では損失額も違ってくるとは思いますが、新卒人材の採用にかかる費用、研修費用、給与、上司やトレーナーの人的コストは一人あたり1000万円を超えるではないかと思います。

キャリアアップにならない転職を繰り返すということは社員にとっても得にはなりません。第二新卒市場もここ数年は盛り上がっています。インターネットで転職活動が行いやすくなったこともあり新卒社員として就職した会社を早期に離職して自分に合った職場を求める若者は、増えています。新卒で会社に入社しても、中途で入っていくる社員、派遣という選択をしているプロ意識の高い派遣社員などとの情報交換も活発になって自分にあった職場探しは盛り上がりをみせています。

企業にとっては何とか社員を自社に引き止めたいと考えている中での終身雇用制度の崩壊による企業への帰属意識の希薄さが招いた第二新卒市場の活況化なのでしょうか。

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