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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

巧妙になるリリースの方法

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多数のユーザが使うサービスやアプリで、新バージョン(新機能)を段階的にリリースする方法が浸透していっています。戦略的リリースと呼ばれる方法の一つで、Staged rolloutとかPhased rolloutと呼ばれます。全ユーザを一括してリリースすると問題が起きたときに元のバージョンに戻すのに苦労するため、ユーザを何段階かに分けて段階的にリリースするほうが安全であるために使われるようになりました。

以下の図は講演等で説明するときに使う図で、ユーザを3グループに分けて、3段階でリリースする例を表しています。

staged_rollout1.png

1段階目で新バージョンを最初のグループにだけリリースします。問題が見つかれば、リリースを止めることもできますし、修正、改善することもできます。全員に一括してリリースするよりは中止、修正、改善の手間が減ります。ここでの問題は多数のユーザの同時アクセスやデータ保存形式の変更といったソフトウェアの品質に関わる問題もあれば、ユーザにとって使い勝手が悪い、想定していなかった悪影響がサービスやアプリ以外に出るといったユーザ側や第三者への問題もあります。

問題があってもクレームやサービスやアプリを使うのを辞めない新しもの好きのユーザを選ぶのが一般的でした。たとえば、長年使ってくれているユーザです。最近では、最初のグループにインフルエンサーといった評判を広める力のあるユーザを選んでおいて、2段階目以降のグループをスムーズに使えるようにしたり、まだ使っていないユーザを取り込んだりするためにも使われているようです。

今後は新機能を使った早めにロールアウトされる権利を買うといったこともあり得ると思います。

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