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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

ビッグデータ時代のソフトウェアメトリクス - ソフトウェアアナリティクスとは

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IEEE Softwareという雑誌でsoftware analyticsという分野に関する特集が組まれています。当初は1号分の特集の予定だったそうですが、2号に分けることとなったそうです。2013年7, 8月号の特集記事のタイトルは以下のとおり。ここに7, 8月号全体の目次があります。

  • T. Menzies, T. Zimmermann: Software Analytics: So What?
  • R. Musson, J. Richards, D. Fisher, C. Bird, B. Bussone, S. Ganguly: Leveraging the Crowd: How 48,000 Users Helped Improve Lync Performance
  • O. Baysal, R. Holmes, M. W. Godfrey: Developer Dashboards: The Need for Qualitative Analytics
  • A. E. Hassan, A. Hindle, P. Runeson, M. Shepperd, P. Devanbu, S. Kim: Roundtable: What's Next in Software Analytics
  • P. M. Johnson: Searching under the Streetlight for Useful Software Analytics
  • J. Czerwonka, N. Nagappan, W. Schulte, B. Murphy: CODEMINE: Building a Software Development Data Analytics Platform at Microsoft

特集の記事はIEEE Softwareを購読していないと読めないのですが、冒頭の記事"Software Analytics: So What?"は無料でも読めるようです。全文はこちらから読めます(HTMLでも読めますが、ページ右側からダウンロードできるPDFがお勧めです)。記事ではsoftware analyticsを次のように定義しています。

We can define software analytics as follows: "Software analytics is analytics on software data for managers and software engineers with the aim of empowering software development individuals and teams to gain and share insight from their data to make better decisions.

「ソフトウェアアナリティクスは、より適切な意思決定のためにソフトウェア開発の現状把握の深掘りを助けるためのデータ分析」くらいの意味になると思います。また、リアルタイムに分析ができ、その結果は何らかの行動につながらなければ、ソフトウェアアナリティクスではないとしています。

また、どのようなソフトウェア開発にもあてはまる単一のモデルを仮定せず、あるプロジェクトで得られた知見がそのまま別のプロジェクトにあてはまるわけではないことは研究者コミュニティの間でコンセンサスとなりつつあることも示しています。その例として、Internet Explorerの開発において得られた不具合予測モデルがFirefoxには通用しないことを実際に調べた結果を挙げています。

エディタのF. Shull氏、Software Analytics: So What?"の著者の一人T. Menzies氏の対談の動画もここで公開されています。

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