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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

1990年代に提案された「疑わしいところテスト」

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D. Hamlet, R. Taylor: "Partition Testing Does not Inspire Confidence", IEEE Transactions on Software Engineering, vol. 16, No. 12, p. 1402-1411(1990)という論文があります。そこでランダムテストと分割テストの不具合発見率を掲載しており、結果の考察において下のような部分(原典では「ルーチン」)をテストすることを"suspicion testing"として提案しています。タイトルにあるとおり「疑わしいところテスト」と訳しておきました。よりよい訳があればコメント欄から送信していただければと思います。

  1. 開発プロジェクトの中で最も経験の少ないプログラマが書いた部分
  2. 開発や過去のリリースで不具合があった部分
  3. レビューで欠陥が指摘され開発サイクルの終盤で変更のあった部分
  4. ほとんどのコーディングが終了した時点で設計変更のあった部分
  5. 設計者や実装者が簡単ではないと感じた部分

論文では実際にこれらを用いて評価は実施していませんが、探索的テストやテストで不具合をうまく見つけられるエンジニアが実践していることのようにも思えます。「そんな情報出せないよ」とか「そんなところテストしてもしょうがないよ」と思ったときには、この論文を引き合いに出すとうまくいくかもしれません。タイトルで検索すると著者のWebで公開されているPDFが見つかるかもしれません。

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