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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

だんだん開発作業が重くなっている?

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ここ最近、細かいエビデンス、コンプライアンスを取っ払ったほうがいいという話やエビデンス、コンプライアンスのために負荷が高まって開発効率に影響を与えているという話を見聞きしたのでエントリにしています。私の主観によるもので全体傾向と言えるほどではないかもしれません。ガバナンス不況という指摘もかなり前からあるように思います。しかし、最近見聞きしたものは私の感触と一致する表現が多いように思いました。これが今回のエントリを書いたきっかけです。

まず見聞きした内容を私が見聞きした順番で紹介します。

1. 講演 (スクウェアエニックス社長 和田氏が中央大学で「ゲーム産業の業態変化」というタイトルで講演された内容)
http://www.square-enix.com/jpn/news/speeches/20111125/page18.html

「ヴィジョンがないままに部分部分に中途半端にチャチャをいれた状態」

2. 対談(マサチューセッツ工科大学教授石井氏と楽天技術理事よしおか氏の対談記事(リクナビTech総研))
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=002022

細かなスペックを延々会議で議論し、膨大な量の仕様書を作り、ようやくシステムができた頃にはすでに時代が変わってしまっているのではどうしようもありません。

3. 新聞(前グーグル会長村上氏の日経新聞のコラム)
http://www.nikkei.com/tech/trend/...

そんなもん原則許可でしょ」でいい

4. 会話(ヤマハモーターUSA社長、ヤマハ発動機 執行役員 加藤氏)

コンプライアンスを守ったりエビデンスを残したりする作業が開発効率に影響を与えている可能性がある。

4が1~3の関連を私の中で強く意識するきっかけになったものです。残念ながら大学関連のクローズドなイベントで加藤氏とお話させていただいたときのことで公開されている情報ではありません。興味深いと思ったので、お話を聞いた直後にブログエントリにする許可をいただきましたが、ここに書いている内容は私の理解によるものですので、私の認識誤りを含み得ます。

記事、講演、新聞、会話の中のどなたも国内、海外の事情に詳しい方と言えそうです。また、私自身もコンプライアンス、エビデンスのために効率が落ちてしまう作業を数多く見ています。

もちろんコンプライアンス、エビデンスが極めて重要な意味を持つ場合もありますので、全てに意味がないわけではありません。しかしながら、様々な観点から少しずつ溜まったコンプライアンス、エビデンスのための作業によって、スピード感がなくなっているならば考え直さなければならないかもしれません。

多くの場合、開発者には、様々な部門や観点からコンプライアンス、エビデンスのための作業が少しずつ積まれていきます。どれくらい積み上がっているかを知っているのは開発者自身やその周辺の人でしかなく、コンプライアンス、エビデンスを要求する立場の人には総計してどれくらいの負荷になっているかが理解されていないことも多いのではないでしょうか。

ご自身やご自身の回りでは、どれくらいコンプライアンスやエビデンスのための作業をしているでしょうか?本エントリのタイトルは開発作業に限定する内容となっていますが、エビデンスやコンプライアンスは開発者だけの問題ではありません。開発者や開発作業以外についても考えられると思います。

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