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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

「責任分界、事前合意にむけたソフトウェアメトリクス」を日本科学技術連盟の機関紙に寄稿した

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ここからタイトルのみ参照できる。従来ソフトウェアメトリクスは開発メンバやその周辺のメンバが中心となって、開発の進捗、予測、見積りを実施していた。ここ最近では、それがベンダとユーザの間でも使われるようになり、広がりをみせていることを紹介する記事。3つの事例を紹介している。

私が広がりを感じるのは、ユーザとベンダ、ソフトウェア開発の委託者と受託者、サービスの享受者と提供者の間の合意や責任分界としてソフトウェアメトリクスの一部が使われるようになってきていることだ。メトリクスはこれまで診断や予測に使われることが多かったが、今後はビジネスの境界としての意味も担ってほしいと思っている。そのためには、透明性を確保すること、虚偽の報告が難しいこと、数値の精度の低さを補うようなルールが必要だと思っている。

たとえば、セールスフォースが提供する基盤では、テストカバレッジを責任分界にうまく使っている。詳細はここで紹介した。

今収集されているメトリクスを契約や責任分界に使ったら「とんでもないことが起こる」と思われる方が多いと思うが、いったん頭を切り替えていただきたい。メトリクスをうまく境界に使うためにはどのような要件を満たす必要があるだろうか。何を許容すべきだろうか。前回のエントリ「制約の設計力」とも共通する部分が多い。

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