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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

ユーザがシステム開発に積極的に関与して得られることは?

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「ベンダは常にどう実現するかという視点で考えているが、ユーザにとっては次の点が気になる。

  • 作られたシステムを使ってどのような付加価値をつけるか
  • システムが人間系の中でどのように位置づけられるか

ユーザ企業の方が書かれた記事の一部を引用したものだ。この記事の詳細はまた別の機会に紹介したいと思っている。これを読んだときに、具体例を合わせて指摘されると確かにそのとおりだと納得した。よいソフトウェアやシステムを得たいと思うならばユーザが積極的に関与することが求められるのではないだろうか。

ITmedia PlanITの以下の記事でも「全部任せちゃえばいいじゃないか」というタイトルでユーザとして何をすべきかが書かれている。記事には、ベンダの得意な点はベンダに任せることにして、ユーザにしかうまく作れない部分にもっと積極的に関与すべき、その結果、発注額も小さくなるだろうと書かれている。

記事は行政のシステムということで、システム自体の付加価値や別のビジネスとの相乗効果が求められないという点で、対象が若干限定されるかもしれないが、この記事が示唆しているものは多くのユーザに参考になるだろう。

発注者という立場からすると「対価を支払ってやってもらえる仕事の一部をなぜ自分がしなければならないのか?」「いろんなベンダに提案してもらってその中から最良のものを選べばよい」という気持ちが少なからず出てくるのではないかと思う。また、ベンダに「提案力」や「顧客ビジネスの理解」が求められているというのは、ある意味、これの裏返しではないかと思う。

ユーザの仕事とベンダの仕事を合わせた作業量は一定で、どちらかが苦労するとどちらかが楽ができるようなものでは必ずしもないように思う。ユーザが苦労すれば、ベンダはその分、別のことができ、よりよいソフトウェアやシステムが得られるのではないだろうか。また、依頼を明確にできれば、ベンダからの問合せへの対応も短時間でできるだろうし、問合せ自体も減る場合が多そうだ。

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