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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

パフォーマンスベース契約の事例は増えるか?

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去年4月に経産省から「情報システムのパフォーマンスベース契約に関する研究」という報告書が公開された。情報システムが生み出す価値やベンダが提供するサービスに対する価値で値付けする方法や事例が報告されている。開発や運用に必要となるリソースの積上げ(人月単価)による値付けを行う商習慣は情報システム開発、運用分野の成長を阻んでいるものの1つとの指摘を受けてのものだそうだ。

報告書には作成時に既に存在していた事例がいくつか紹介されている。この報告書をベースに実際に契約したという話が出てきてもよいように思う。報告自体は早くても来年度以降になりそうだが。

報告書の事例にあるとおり、SLA(Service Level Agreement)にもとづき、約束が守れなかった場合に払い戻しをする等のペナルティ型の課金を契約に盛り込んでいる事例は多く存在する。このパターンは合意が得やすいことのあらわれなのかもしれない。

開発対象が多岐にわたり、対象によって求められる品質が異なる傾向はこれまで以上に増していくだろう。品質低下がもたらした損害の大きさを契約時に何段階かに分類し、分類に応じてペナルティを決めておくことにすれば、システムを開発する側は、ユーザにとってのリスクが明確になればどこにリソースを集中して開発し、どこのテストを重点的に実施すればよいかの判断材料になり得る。

ユーザに様々な提案ができるような、強みといえる分野や、システムの優位性がユーザに多くの利益を生み出す場合には、パフォーマンスベースにしてみるのも一つの手ではないかと思う。

もしご自身の組織にあるとするならば、それはどんな分野だろうか。どんな方法で契約することができるだろうか。

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