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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

実際に測ってみる、作ってみてから改善する - Boschの基調講演 -

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ESEM2008シンポジウムの基調講演はボッシュ(Robert Bosch GmbH)の研究開発部門のVice President Harald Honninger氏、Mark Muller氏によるものだった。ボッシュはコンシューマ向けの自動車部品、工具等を作る会社であり、自動車部品のほうで占めるソフトウェアの比率は年々高まってきているそうだ。

タイトルは"Using empirical methods to improve industrial technology transfer"。研究開発部門で新しいものを考えて事業部門へ移転するということから"transfer"が含まれている。ボッシュでは研究開発において考案→シミュレーション→実適用というベーシックなやり方をとっているようだ。その例として5つが挙げられていたが、ここではそのうち3つを紹介する(残りの2つは3つのうちのいずれかに含まれているように思えたからだ)。一部は論文として公開されているそうだ。

  • 要件定義手法の比較
    テストケースがどれくらい正しく抽出できたかを評価軸として、実験(制御実験)下で要求獲得手法を評価しているそうだ。
  • 成果物とプロセスの計測
    ウォータフォールの各フェーズでどれくらいの欠陥が混入され、除去されるかを実際のプロジェクトから件数ベースで計測した例を紹介していた。
  • 音声インタフェースのシミュレーションとユーザ評価
    車を運転しながら、音声インタフェースでホテルの予約や近くのレストランを検索できるインタフェースを作成し、自動車シミュレータ上でユーザ評価をエンピリカルに実施しているそうだ。現時点で、ユーザ評価はまだ高くないので商品化していないそうだ。

研究部門とはいえ、実際にやってみることを重んじている部分が印象的だった。また、スライドの各所に"improve(改善)"が出てくるところも印象に残った。

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