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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

世界最大(級)システムの見積り根拠の1つは類似プロジェクトの工程別工数比率

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2007年秋のJAL, JASの情報システムの完全統合の際の話だそうだ。詳細はこちら過去にあまり実績のないソフトウェア/システム、実績のない規模のものを見積る際に、サブシステムやサブプロジェクト単位で類似プロジェクトをさがす。その類似プロジェクトの工程別工数比率を参考にする。なんとなくしっくりくるような気がしていた。(と記事を参照してから書くとあやしいんだが。。)特に根拠はなく、私の感触だけかと思っていたのだが、超大規模システムの見積りの参考値や見積り根拠の1つとして類似プロジェクトの各工程(ウォータフォールモデル。総合試験を除く)の工数比率を使われたそうだ。

記事では、リーダやマネージャが見積りをする際に、サブシステムやサブプロジェクトごとに類似のものをさがし、その工数比率を見積りの参考値や妥当性確認に使ったことが書かれている。もちろん、最終的な見積りはサブシステムのリーダやサブプロジェクトのマネージャが決定するのであくまで参考値だ。

ここからは私見だが、過去の類似のプロジェクトが非常に多くてさがせない場合や、類似のプロジェクトが存在しない場合がある。

類似のプロジェクトが非常に多くてさがすのに困る場合(名前だけは聞いたことがあるが、実際にどのようなプロファイルのものかわからない等)には、我々が提案しているプロジェクトの特徴を抽出する手法が使える。一次フィルタやとっかかりとして役立つ。手法の詳細は、過去のエントリスライド論文書籍(8章)Webページで紹介している。論文とスライドでは、商用開発プロジェクトのデータから試験の工数比率と外部委託比率を掲載している。

類似のプロジェクトが存在しない場合には組織内の標準的な工程比率やIPAソフトウェアエンジニアリングセンターが調査している「ソフトウェア開発データ白書」に掲載されている値を参考にすることになるだろう。あるいは別の見積り手法に頼ることになるかもしれない。

ウォータフォールモデルが前提の話になっているが、イテレーション開発でも工程比率については同様のことが言えると思う。

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