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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

グローバルスタンダードに振りまわされた20年となぜかうまくいくモチベーション向上

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「夏のソフトウェアプロセス改善セミナー in 大阪」に参加した。午前中は2つの講演、午後はチュートリアルという構成だった。ここでは午前中2つの講演(ご講演順)を紹介する。

  • 森田祥男氏(ソニーグローバルソリューションズ)「プロセス改善の真髄 ~ 日本のソフトウェア産業の発展にむけて ~」(SPI Japan 2003最優秀発表賞受賞)
  • 阪本太志氏(東芝デジタルメディアエンジニアリング)「8年目のSPI ~ 継続的に改善するための秘訣 ~」(SPI Japan 2006プログラム委員長賞受賞)

私が印象に残った点は以下のとおり。

  • 無用なルールの押し付けはダメ。
  • パートナ(派遣)さんによる人材確保の割合が高くなっている、後輩や部下が少ない年代の存在など、品質に関する知識の伝承を阻害される原因が増えている。
  • 阿吽の呼吸で成り立っている日本企業にISOベースのドキュメンテーションの文化、責任と権限を導入するのはなかなか難しい。たとえば欧米ならばマネージャ層には、責任と権限が定義されているジョブディスクリプションがあるが、多くの日本の企業にはそれに該当する文書が不十分あるいは存在しない。
  • ルールを文書化すると「そのとおりやればいいんでしょ」となりがち。
  • 凡ミス等の不具合を出すことは恥という文化が日本にはある。
  • ソフトウェアCMMのビジネスゴールとして「基本的な技術力の向上。SPI活動を通じて将来のために技術力をつける時間を確保したい。・・・」を記述されていること。
  • SPI活動に必要なツール/システム群を内製している点。ツール/システム群に対する要望のうち軽微なものは「それくらいの改造や機能追加ならやるよ」と言える土壌

特に、マネージメント層が定義したビジネスゴールに「将来のための技術力をつけるための時間確保をすること」と定義されている点は、働く人にも会社にもメリットがあると思う。「忙しくて新たな知識を取り入れる時間がない」という話を聞くことは多いが、「効率化により勉強するための時間が作れた」という話はそれと比して少ないように思う。また、「凡ミスを恥」と思うという部分も的を得ているように思う。ベテランのほうに特にあてはまるように思うが。

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