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「ISILの大義名分は何か?」 歴史から学ぶ大切さ

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中東地域各国の国境の一部は、なぜか直線になっています。

ISILイスラム国が活動しているシリアとイラクの国境も、直線です。

国境が直線というのは、ちょっと不自然ですね。「そう言えば、不思議だな」と思った方も多いのではないでしょうか?

 

イスラム王朝であるオスマン帝国は、17世紀には地中海一帯を支配するまでに拡大しました。1529年と1683年にはウィーンを包囲するなど、西欧キリスト教社会にとって大きな脅威でした。このようなこともあって、特に欧州の人たちには、「オスマンの脅威」はトラウマになっていると言われています。

当ブログでよくご紹介するコーヒーも、この時期、イスラム世界で育まれ、欧州に伝わりました。

オスマン帝国は17世紀末から急速に衰退し、第一次世界大戦の敗退で解体されました。

このオスマン帝国領の国境分割を合意した密約が、1916年に連合国のフランス・英国・ロシアにより合意された「サイクス・ピコ協定」。

現在の中東地域の国境の原点は、この国境分割に端を発しています。

 

多くのイスラム過激派がISILイスラム国を支持する背景に、ISILイスラム国が「100年前のサイクス・ピコ協定を破壊する」という大義名分を掲げて、その象徴であるイラク・シリア国境で活動していることにあります。(イラク・シリア国境は、不自然に一直線です)

 

2015/2/2の日本経済新聞朝刊で、池上彰さんが「池上彰の大岡山通信」で、ISILイスラム国に殺害された後藤さんに触れて、次のようにおっしゃっています。

---(以下、引用)---

 こうした悲劇を防ぐには、どうすればいいのか。即効薬はありませんが、いまこそ求められるのは歴史観ではないのか。人間の愚かさと知恵の詰まった歴史を学ぶ中から、次の悲劇を防止する仕組みを構想する。

 そのために、若い人たちに、今回の悲劇を歴史の中に位置づける視点を伝えていきたい。さらに後藤さんの遺志を若い世代に伝える。

 私には、これしかできないという無力感の中で決意しています。

---(以上、引用)---

 

何らかの行動をするひとには、必ずその理由があります。

人を殺害することは決して許されませんが、一方で、ISILイスラム国であのような非道な活動をしている人たちにも、彼らなりの理由があるはずです。では、ISILイスラム国のような過激派がなぜ生まれたのか?

その歴史から何を学び、今後人類はどのようにそのようなことを防ぐべきなのか?

「歴史観」というものは、大切なのだということを、この歳になって改めて感じます。

 

人類は少しずつ進化してきました。私たちも今、歴史と現実に学びながら、新たな進化が求められているのではないかと思います。

 

ちなみに、サイクス・ピコ協定を締結させた当時フランスの首相兼外相だったアリスティード・ブリアンは、1926年にノーベル平和賞を受賞しました。これもまた、歴史の真実です。

 

【2015/2/10 13:00変更】

(1).タイトルを『「イスラム国の大義名分は何か?」 歴史から学ぶ大切さ』から、『「ISILの大義名分は何か?」 歴史から学ぶ大切さ』に変更しました。

(2).本文中の「イスラム国」の記述を、全て「ISIL」に変更しました。

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