フォーカスグループインタビューでは、顧客の本音はなかなか検証できない
マーケティングの世界では、「フォーカスグループインタビュー」という方法がよく行われます。
ターゲットとなる顧客グループの人たちに一室に集まってもらいます。そして商品などを見てもらい、質問に答えてもらったり、感想を述べてもらったりします。部屋の一角はマジックミラーになっていて、その商品の関係者が顧客グループの回答の一部始終を観察し、顧客の生の声から、商品の市場性を判断します。
このように、フォーカスグループインタビューはマーケティングの世界で広く活用されています。
ただ、ここで考慮点があります。フォーカスグループインタビューは、仮説構築のためには有効ですが、必ずしも仮説を検証はできない、ということです。
フォーカスグループインタビューでは、顧客の本音はなかなか掴めないからです。
たとえば、マジックミラーに囲まれた部屋に、ご自身がいる状況を想像してみてください。
何か商品サンプルを見せられ、「いかがですか?」と尋ねられて、内心(全然ダメだなぁ)と思っていても、その感想はストレートに言わず、「うーん。どうですかねぇ。一般的には受けないんじゃないですかねぇ」という第三者的な意見を述べることが多いのです。
私は個人的に、フォーカスグループインタビューは、その場で出る色々な意見をもとに、顧客の課題を推測し仮説を立てるために使うべきなのではないか、と考えています。検証の参考にはなりますが、確実ではないのです。
先日のブログで、『「どれがいいですか?」と言うと、評論家的に「みんなはコレがいいと思う」と考えてしまい、無難なものを選びがちである』というヤッホーブルーイング・井手社長の講演のお話しを紹介しました。同じことです。
では顧客の本音はどのように検証すればいいのか?
私がご提案は、実際に商品を、試験販売することです。
実販売であれば、顧客は欲しいものは買いますし、欲しくないものは買いません。確実に本音が検証できるのです。
試験販売のための商品開発が大変な場合もあります。しかしある程度の販売条件を限定すれば、類似コンセプトの商品で代替することも可能です。
色々なマーケティング手法がありますが、その特性を考えて活用したいものです。