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世界経営者会議(2) 1日目:KPMGインターナショナル・ビーマイヤー会長

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前回の続きです。KPMGインターナショナル会長のお話は、自分の仕事の上でも、とても学ぶところが大きいものでした。

■KPMGインターナショナル ジョン・ビーマイヤー会長

KPMGは世界155ヶ国に15.5万人の社員がおり、売上240億ドル(2.5兆円)。会計監査や税務の助言を行っている。

400社のCEOに対してインタビューした結果を、KPMG CEO Studyとしてまとめた。他社の調査と違うのは「今後3年間、どう考えているか」にフォーカスしていることだ。これを紹介したい。

 

驚くべき点は、世界のCEOは楽観的になってる、ということだ。「今後3年間の成長についてどう思うか?」という質問に対して、「より自信がある」が55%、「今と同じ」が41%、「自信がない」はわずか4%だ。

また「今後のフォーカスは何か?」という質問に対しては70%が「成長」と回答している。リーマンショック後遺症が残る数年前ならば「日々の業務の効率化」だった。CEOの意識は変わっているのだ。

元々CEOは楽観的な性格であることを割り引いても、注目に値する結果だ。これは雇用拡大に繋がっていくだろう。

 

米国の製造業は回復しつつある。市場を変革する技術革新(3Dプリンターなど)が生まれ、エネルギーも米国内で自給自足できるようになり、どこに製造拠点を置くかは問題ではなくなってきた。これまでほどグローバルサプライチェーンを気にしなくてもよくなったのだ。

さらにIBMのロメッティCEO、日立の中西CEOもおっしゃったように、世界のCEO自身がビッグデータ活用技術により「収集したデータを日々の経営で活用できる」と考え始めているのだ。

 

では、「CEOの懸念」は何か?

「競合他社にビジネスを奪われる」が90%、「新規参入者にビジネスモデルを破壊される」が59%だ。

破壊的変革は業界に関係なく起こっている。

さらに顧客は、たとえばアマゾンと同じ顧客サービスレベルをまったく別業界でも期待する、といったように、別業界と同じレベルのサービスを期待するようになっている。顧客の期待レベルが上がっているのだ。

だから企業は、顧客の中でどのような課題と期待が作られているか、常に敏感であるべきだ。

 

また、実に3/4のCEOが企業変革を進めている。32%が「評価または計画段階」、44%が「変革完了または実施段階」、24%が「検討していない」と回答している。

さらに、「3年以内に、自社の製品やサービスの賞味期限が切れる」と考えているCEOが72%いる。つまり、既存製品をいかに変革するか、いかに時代に適合したものにしていくかが重要だ。

 

これらの変革を進める上で重要なのが、人材。これまで企業にとっては、財務資本が重要だった。しかし今後100年は、人的資本がより重要になっていく。

 

(民主党が中間選挙で敗北した。この影響についてどうか、という質問に対して)
むしろ米国のCEOはより楽観的になっている。共和党が企業にとって有利な政策を進めていくことで、ビジネスメリットが生まれると考えているからだ。

(変革を促進するには?、という質問に対して)
多くのCEOは、変革の障害は「文化だ」と回答している。要は、「人をいかに変えるか?」が重要だ。社員一人一人が責任を持って、自らがクリエイティブに変革していくことが重要になっている。

 

(講演では他に税制改革についても触れられていましたが、割愛します)

 

講演を拝聴し、色々と考えました。

オフィス永井では、『「お客様が買う理由」を考え抜き、実際に検証をした上で、商品・サービス開発を進めましょう』とご提案し、長期間の研修やワークショップをご提供しています。

ありがたいことに「自社で行いたい」というご要望も多くいただきます。

自分の感覚では、まさに経営者は、ビーマイヤー会長がお話になった

「多くのCEOが、3年以内に自社製品・サービスが賞味期限切れになると懸念」
「顧客の期待と課題を把握すべし」
「変革で重要なのは、人の考え方」

という問題意識を持っていると感じています。

オフィス永井が提供すべき価値は何か、改めて考えを整理し、深めることができたすばらしい講演でした。

 

世界経営者会議では、他にも多くのことを学ぶことができました。また追ってご紹介してまいります。

 

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