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第15回世界経営者会議のメモ書き (その2) HUBLOT会長の話に、とても共感しました

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昨日のブログに続き、日本経済新聞社主催「第15回 世界経営者会議」の内容をご紹介します。

初日(10/21)に、高級腕時計HUBLOT(ウブロ)会長のジャンークロード・ビバーさんのお話をお聞きしました。

初日の他経営者のお話も凄かったのですが、ビバーさんは特に個人的に大きな共感を感じましたので、ご報告レポート第2回目はビバーさんのお話しを紹介させていただきます。

ちなみに、この時の様子がHUBLOTのサイトに掲載されています。

 

前回同様、自分への備忘録も兼ねて、雑記的に書いていますが、ご了承下さい。

・私のマネジメントスタイルはスイス・スタイル。つまり世界で最も民主主義的なスタイルだ。人は自分自身で決定できないとフラストレーションが溜まるものだ。だから常にコンセンサスが得られるように配慮している。私の経営方針の基本は「愛。健康。フラストレーションをなくす」の三つだ。

・私は朝8時に出社後は、オフィスでは自分の仕事を一切しない。そのため、朝3時に起きて、出社前にやるべきことは全て自宅で済ませている。オフィスでは、常に私の部屋に入ってくる人の話の聞き役に徹している。決定事項は必ず受け容れられるようにし、「彼ら(=部下)自身の」決定になるようにしている。全員が自分自身でやりたいようにすることが大切なのだ。もし決定後、邪魔が入ったら、私がそれを排除するようにしている。

・「それって、日本の根回しと同じじゃないか?」という質問に対して....。その通り!私は日本が大好きだ。日本は「愛の国」だ。おもてなし、尊敬、丁寧、親切さ。これらは全て日本の強みだ。

・HUBLOTは、「古い価値観」と「イノベーション」を結びつけようとしている。例えば、高級腕時計というと金やプラチナを連想し勝ちだ。しかし伝統的な高級ブランドであるHUBLOTでは、炭素素材や京セラのセラミック素材も使っている。F-1のスポンサーになっているのもハイテクで結びつきがあるからだ。

・過去と未来の融合は、実は日本がやっていることだ。日本が国としてやっていることを、HUBLOTは会社としてやっているようなものだ。「過去と未来の融合」というと、米国人は理解できないが、日本人はちゃんと理解してくれる。

・HUBLOTでのビジネスのルールは三つだ。一つ目は、許しの心を持つこと。誰でも失敗はあるが、失敗は最も優れた学習でもあるのだ。二つ目は、人を尊重すること。大切なのはリスペクトだ。三つ目は、共有すること。経験、ビジョン、失敗などを共有すれば、より学び、幸せになれる。

・楽観は明日はもっと楽しくするし、未来は素晴らしくなる。色々と見えてくる。「明日は、今日よりも必ずよくなる」と信じることが大切。悲観は明日を怖れるものだ。「怖れ」はビジネスパーソンの敵だ。ただし「疑い」は友人。疑うことは必要だが、怖れていてはチームを率いることはできない。

・「起業家へのアドバイスは?」という質問に対して....。起業は一匹狼ではできない。チームが必要だ。だからチームを強くすること。そしてリーダーは過ちを怖れてはならない。決して「死んだ魚」、つまり流れに流されてはならない。活き活きと泳ぎ回る魚になることだ。

 

ビバーさんの話を聞いて、米国人的な発想と、スイス的な発想の違いがよくわかりました。

それとともに、9月に欧州ビジネス協会・鉄道委員会様で講演した際、参加された欧州の人達が米国人と同一視されることについて違和感を感じると言っていた理由が、とてもよくハラに落ちました。

考えてみれば、「世界経営者会議」初日の8名の講演者には米国人はいませんでした。日本人2名の他は、シンガポール人、タイ人、デンマーク人、フランス人、スイス人、イスラエル人です。

米国一辺倒だったグローバル社会は、まさに多様化しつつあると感じました。

同時に、実際に人の話を聞いて、インプットしていくことは大切だと実感しました。

 

ここまでが初日。

昨日(2013/10/22)、世界経営者会議の2日目がありました。2日目も得ることがとても多い会でした。これについては後日ご報告します。

 

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