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第15回世界経営者会議のメモ書き (その1) 「グローバル化」「透明性」「相互信頼」「日本経営の復活」「イノベーション」

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昨日(10/21)と本日(10/22)、東京帝国ホテルで日本経済新聞社主催「第15回 世界経営者会議」が行われています。

この世界経営者会議、実は申し込めば抽選で参加できます。(有料です)

ということで、勉強のために参加してきました。

 

初日の講演者は、米国を除いた、欧州・アジア・日本といった様々な地域出身の経営者でした。世界が多極化していることを実感した会でもありました。

そこで何回かに分けて、ご紹介していきたいと思います。

自分への備忘録も兼ねて、雑記的に書いていますが、ご了承下さい。

なお、本日(10/22)の日本経済新聞朝刊にも、各講演の様子が掲載されていますので、併せてご参照下さい。
 

■エアバス社長兼CEO:ファブリス・ブレジエ氏

・ブレジエさんはフランス出身。

・今や航空機需要の1/3はアジア。またリース事業のパートナー戦略の上でもアジアは重要。

・様々な需要がLCCから生まれている。近距離大量輸送用のワイドボディなどがそうだ。さらに地域によってニーズは異なる。これらに対応することが必要だ。

・エアバス社は100カ国以上の国籍からなる社員で構成されている。そのため透明性と信頼に基づき、相互理解を促進していく上で、グローバルコミュニケーションが必須となっている。

・このような環境で、経営の軸を伝えるのはトップリーダーの責任だ。隔月で1500名のマネージャーと意見交換する場を作り、さらに隔年の全社員サーベイでキーポイントが伝わっているかを確認している。

・経営判断上の軸は、あくまで顧客の要望だ。

 

■IHHヘルスケア社長 リム・チョクペン氏

・チョクペンさんはシンガポール出身。医師。

・シンガポール、トルコ、マレーシアなど9カ国で32の病院を運営。病床数は5100。統合医療を提供している。

・ほとんどの国で医師を社員としては採用していない。フリーの優秀な医師と契約している。

・「日本の医療についてどう思うか?」という質問に対して....。品質が高い。日本だけでなく他国に対しても、日本は医療ツーリズムのハブとなり得る。実際、ベトナムから日本に高度医療を受けに来ている人もいる。シンガポールの医師も東京大学で学んでいる。

・ただし日本の医療の問題は規制だ。クロスボーダーの医師免許制度が必要だ。例えばシンガポールの医師が日本で治療ができるようにすれば、患者にとってもメリットがある筈だ

 

■サハ・パタナピブン会長 ブンチャイ・チョクワタナー氏

・チョクワタナーさんはタイ出身。

・現在の成功は、明日の失敗の始まりだ。イノベーションは大切だ。

・学習することでチャンスに変えることができる。1997年の経営危機でイノベーションを日々実践するようになった

・この際に、MOPという手法を編み出した。Mission Objective Policyの頭文字を取ったものだ。社員が心から情熱を持って動けるように、かつ長期的政策と短期的なプロジェクトを実践していくものだ。この仕組みを導入してから、売上も利益も大きく伸びた。

・私たちの経営哲学は、古き良き日本の経営哲学と変わらない。終身雇用、誠実さと健全さ、収益を社会に還元、だ。

・「日本企業の停滞についてどう思うか」という質問に対して....。成功を一旦経験すると、そのモデルを変えるのは難しい。日本は経済大国になった。だから変えるのは難しくなった。しかし20年の停滞の後、安倍首相になって変わった。今まではゆったりとしたダンスを踊っていた。誰もがそれに慣れていて、それによる経済の影響を認識していなかった。今はロックンロールを踊っているかのように素早い。

・「日本企業への期待は何か?」という質問に対して....。海外でビジネスをするためには、地元の人が何を求めているかを肌身で理解する必要がある。タイと日本は比較的近いモノの考え方をするものの、日本の考え方を押しつけてはいけない。そのような企業は、タイでは失敗しているのが現実だ。

・「日本市場の参入について、どう考えているか?」という質問に対して....。できればと思っているが、実際には難しい。恐らく日本は世界一参入が難しい市場ではないか?カルフールも2回試みて失敗している。

 

■楽天会長兼社長 三木谷浩史氏

・米国のIT経営者(セルゲイ・プリン、ザッカーバーグ、ラリー・エリソン、等々)は、一見するとネジが一つか二つ吹っ飛んだ考え方をしているかのように見える。しかし実は「素直に考えると、将来はこうなる」という鳥瞰の眼を持って、技術を判断している。新しい発想をどんどん取り入れて、「できない理由」でなく「できる方法」を探していくことが必要だ。

・楽天社内の英語化により、グローバルで均質な情報共有ができるようになった。人材も多国籍化している。外国籍社員は10.2%、海外勤務比率は3割、外国籍の新卒は3割、外国籍の新卒エンジニアは7割だ。コンピューターサイエンス専門の大卒は、日本は2万人だが、米国は32万人、中国は100万人、インドは200万人。しかし日本語が壁になっていると2万人の中からしか採用できない。実は日本は暮らしやすいので、「日本企業で働きたい」と思っている海外の人は多いが、日本語が壁になっている。社内英語化で、この数百万人に門戸を開けるのは、当社にとってもメリットだ。

・「日本語と英語の両方を準備するのはコスト高になるのでは?」という質問に対して....。実際には他言語でも用意しなければならない。まず英語で用意して、それを日本語、中国語、フランス語....と作っていく。だから逆にコスト削減に繋がっている。

 

■ストラタシスCEO デビット・ライス氏

・ライスさんはイスラエル出身。

・ストラタシスは3Dプリンター大手。

・教育セグメントは大きい。子ども達のイマジネーションを育てることができる。

・製造業で、3Dプリンターが全てを置き換えることはない。大量生産は従来の射出成形が引き続き使われるだろう。しかし短納期・カスタマイズ・パーソナライズの需要は、3Dプリンターがまかなっていくことになる。今は存在しない新市場を創造することになるだろう。デザイン業界は大きく変わっていくはずだ。

 

■ヘンケルCEO カスパー・ローステッド氏

・ローステッドさんはデンマーク出身。

・ヘンケルは接着剤大手でドイツ企業。

・CEOに就任した6年前、社内公用語をドイツ語から英語に変えた。

・さらに2年間をかけて社内の価値観を変革し、その後4年間で定着させ成長を図った。

・あくまで顧客を前面に出した。顧客が第一である。顧客をもって行動を定義した。

・当初、経営陣40名が集まり、各自が考える10の価値観を話し合った。全員がちゃんと書けなかった。そこで1年かけて残したい価値観を5つに絞った。そして6ヶ月間かけて4万人の全社員に展開した。

・その結果、ドイツ的なビジョンから、グローバルなビジョンに大きく変わった。

・価値観・ビジョンを定義するに当たっては、基本的な言葉を使うようにした。例えば「ソリューション」という言葉は国によって意味が異なる。だから使わなかった。

・「アジア、特に日本の役割は?」という質問に対して....。アジアは製造の中心。日本は自動車や電機業界でリーダー。大きな投資をしている。

実は多くの欧州企業が、アジアの成長にいかに取り組むか、苦労している。欧州企業のチャレンジは、アジアを理解すること、アジア人がアジアの法人を運営するようにすることだ。そのためには信頼と共通の価値観が必要なのだ。

・アメリカ人なら1回の話し合いで納得できることでも、アジアではなかなか納得できない。それに意見もなかなか話さない。これが現実だ。多様な、異なる文化を、信頼して受け容れることが必要だ。

 

■HUBROT会長 シャン・クロード・ビバー氏

(ビバーさんのお話しは特に面白かったので、後日ご紹介します)

 

■堀場製作所 最高顧問 堀場雅夫氏

・社是は「おもしろおかしく」。経営陣はなかなか受け容れなかったが、6年かけて認めさせた。

・仕事は苦労してはダメ。疲れていてはダメ。いい発想ができない。「これは面白い!」と思うと、どんどん発想が生まれてくる。

・「日本企業の問題は?」という質問に対して....。リスクマネジメントという言葉がある。本来の意味は、リスクを取る際に損害を最小化する方策を採ること。しかし今の日本ではリスクを取らないことになってしまっている。だから日本が元気がない。

・「88歳になっても、そのように立ったままずっと講演をなさっている元気の秘訣は?」という質問に対して....。病の99%はストレスだ。特に経営者はストレスが多い。だから少しでもeasy goingだ。迷惑をかけずに好きなことをやることだ。例えば会社の利益分配。「誰にいくらあげよう」と経営者が考え始めるととても大変。しかもその作業は価値を生まない。だから「従業員にxx%、株主へは配当性向30%、役員へは利益の6%」と決めてしまった。決めたので悩む必要がなくなり、その時間、価値を生むことに使える。

 

「グローバル化」「透明性」「相互信頼」「日本経営の復活」「イノベーション」が大きなテーマとなった初日でした。

 

第1日目のビバーさんと、第2日目の様子は、また後日ご紹介します。

 

 

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