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交渉でよりよい結果を出すためのキーワード:BATNA

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BATNAは『バトナ』と読みます。Best Alternative To Non-Agreementの頭文字を取ったものです。『交渉が成立しなかった場合の次善策』という意味です。

BATNAは交渉の基本中の基本です。交渉は強いBATNA を持っている方が勝つからです。

 

例えば、就職活動中の山田さんと田中さんが、A社・B社・C社の3社に就職活動をしていたとします。単純化のため、この3社の条件は全て同じで、給与だけが判断基準とします。

 

山田さんは、B社から年収500万円で内定獲得、さらにC社からも年収450万円で内定獲得した状況で、A社に就職活動しています。

この場合、山田さんはA社に対して強気で給与交渉が可能です。例えば年収600万円で交渉して、もし500万円以下に決まりそうだったらB社を選べばいいからです。

この場合の山田さんのBATNAは『B社に年収500万円で入社する』です。

 

一方の田中さんは、B社とC社に不合格の状態で、A社に就職活動しています。あとがない状況ですね。

だから田中さんは山田さんとは異なり、給与交渉をしている余裕はありません。まずはA社から何でもいいので内定を取ること。

その理由は田中さんがBATNAを持っていないからです。

 

これを図示すると下記のようになります。

Batna_2

要はこの例は「どこかの内定を取っておかないと、就職交渉は難しい」ということです。

このように書くと「山田さんのようにできれば苦労しないじゃん」と思うかもしれません。しかし田中さんの立場でも対策はあります。それはより難易度が低いD社でもE社でもいいのでどこかの内定を確保すること。つまり何らかのBATNAを確保することで、A社とより有利な交渉が可能になります。

 

交渉の基本は、より有利なBATNAをできる限り確保すること。日々の仕事でも、よりよいBATNAを持っておくことで、よりよい仕事をより簡単に進めることができるのです。

 

 

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