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仕事をしながら本を書くのは、「二足の草鞋を履く」のではない。「車の両輪」である

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2012/6/24の日本経済新聞の文化欄(最後のページ)に芥川賞を受賞された作家・礒崎憲一郎さんが「二足の草鞋」というコラムを書いておられます。

礒崎さんは商社に勤務する傍ら、2007年に文藝賞、その後芥川賞、ドゥマゴ賞と受賞されています。

このような方をよく「二足の草鞋を履く」と呼んだりしますが、礒崎さんは以下のように書いておられます。

---(以下、引用)---

私は自分が「二足の草鞋」を、この場合は会社員と小説家という意味だが、その二つの立場を器用に使い分けて、両立させているなどと思ったことは今まで一度もない。

(中略)

じっさいにはやればやるほど二つの世界は私の中で統合されている。

---(以上、引用)----

これは私も全く同感です。

私も仕事から離れた時間に本を書いていますが、本では仕事で学んだことを消化・抽象化して本に書いていますし、さらに本に整理して書いて改めて咀嚼したことを仕事に活かしています。

「仕事は最高の学びの場」です。

だから、「二足の草鞋」というよりも、「お互いに車の両輪」である、というのが率直な感想です。

 

礒崎さんは以下のように続けています。

---(以下、引用)---

もう一つ、しばしばされる質問に「いったいいつ、書いているんですか?」というのがある。これもまあ「二足の草鞋」と同じで、私が会社勤めと執筆の両方を続けているので、よほど時間のやりくりが上手いのではないか?特別な時間管理術のようなものでも実践しているのではないか?

 という先入観から来ている質問なのだろうが、ここにも根本的な誤解がある。小説は時間を掛ければ書けるものではない。......

 時間管理術なんかよりももっと大事なのは、結局はさっきと同じ話になるのだが、自分としてどうしても譲れない、変えようにも変えられない部分はどこなのか、変えられない部分に対して自分の人生をどのように差し出すのか、その差し出すときの姿勢、腰の低さみたいなことなのだと思う。

---(以上、引用)----

「自分の人生の時間を、どのように使うのか」というのは、単なる時間管理術を超えた世界です。

自分の人生の使い方を定めれば、その後どのようにするかは、自ずから付いてくるものであると思います。

 

 

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