課題の克服へ歩み始める2012年
2012年1月1日の日本経済新聞の社説「転換期日本、(1)、資本主義を進化させるために」で、以下のような言葉がありました。
----(以下、引用)---
「日本は今悩んでいる。日本はどこへ行くのだ。日本は何をするのだ。日本はどうなるのだ」
「日本はもう(中略)進むだけ進んだのではないか。生々たる発育期をすぎて、静止状態に入ったのではないか。注意すべきは発足期にたつ支那(原文のまま。中国をさす)であって、日本の時代は過ぎたのではないか」
----(以上、引用)---
「日本の時代は過ぎたのではないか」という書き出しがある本書『転換期の日本』(清沢洌著)が書かれたのは1929/10/18。世界恐慌の暗黒の木曜日の6日前です。
当時は帝国主義の時代、第1次グローバル化の時代ともよばれました。この時代は世界大戦で終わり、世界のリード役が英国から米国にかわっていく過渡期でもあった、と記事は書いています。
日本は1929年から1945年までの軍国主義の時代を経て、16年後に再び成長の波に乗りました。
では現代の私たちはどのように考えていくべきなのでしょうか?
記事は最後に以下のように締めくくっています。
----(以下、引用)---
決して悲観することはない。変化の芽は出ている。
東日本大震災がきっかけとなり社会の絆や連帯が再認識されて、横でつながる意識の芽生えは、社会をかえる可能性をひめる。
民主主義の問題点は、今の生活を良くしようとして負担をきらい、将来の資産を先食いすることにある。遅まきながら世代格差を是正しようという考え方が共有されるようになった。
グローバル化を積極的に受けとめて、外の人材を受け入れ、起業しようという機運も高まっている。企業でも、政治でも、ガバナンスを問い直す動きがみえる。
清沢は『転換期の日本』を以下のように締めくくっている。「日本が再出発するためには」「国家の目標を高く掲ぐるを要する」「国家の目標とは(中略)、世界を家とし、世界に友を求めることである」
これはまさに現在に通じる。今様にいいかえると次のようになるだろう。日本再生のためには、国家目標としてグローバル社会で生きぬくことを高く掲げ、転換期を乗りこえていこう――。
----(以上、引用)---
確かに、ほんの1-2年前まで失われていた、社会の絆や連帯、社会的コンセンサスが得られなかった世代間格差の是正、抵抗感があったグローバル化やダイバーシティが、最近は社会的にも受け入れられ始めていると感じます。
一度、課題を全員で共有し、皆で目指すべき方向感が「空気」として共有されると、抜群の実行力を見せるのが日本です。
2011年は、課題を認識した年ではなかったかと思います。
2012年は、課題の克服への歩みを皆で始める年としたいですね。