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「電子書籍が儲からない6つの理由」

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現在書いている本を出版する一つの選択肢として、電子書籍を考えています。

しかし、アマゾンDTPなどのインフラが整っている米国市場と比べて、日本市場の状況や方向性が今一つよく見えません。

そんな中、書店で別冊宝島「電子書籍の正体 出版界に黒船は本当にやってきたのか?」 を見つけたので、早速購入して読んでみました。

 

色々と現在の状況が書かれています。

どちらかというと出版社側の視点を感じますが、それはそれで、とても参考になりました。

その中で、「電子書籍が儲からない6つの理由」という章があり、とても興味深かったので、ご紹介します。

 

Q1:10-20代向けのコンテンツを中心に配信したい

→Yesだと、儲からない。iPad等が高すぎて若年層は利用できないし、中高生はクレジットカード決裁できない

→Noだと、Q2へ。

 

Q2:30-40代向けに売れるキラーコンテンツを持っていない

→Yesだと儲からない。電子書籍で売れているのはスター作家の2次利用作が大半。

→Noだと、Q3へ。

 

Q3:キラーコンテンツの作家が、ネット上で強い影響力を持っている

→Yesだと儲からない。ネットに強い作者は自分ですべてを完結できてしまう(出版社や取次が儲からない、ということですね)

→Noだと、Q4へ。

 

Q4:iPhone向けのストリーミング配信を中心に検討している

→Yesだと儲からない。ストリーミング配信だと突然読めなくなることがある(マンガなどの場合ですね)

→Noだと、Q5へ。

 

Q5:決裁システムやプロモーションはAppStoreなどに一任してしまう

→Yesだと儲からない。売上の30%がAppleで残り70%を出版社、著者、アプリ開発者が分け合う。しかも紙媒体よりも格安の値段でないと売れない

→Noだと、Q6へ。

 

Q6:ネットプロモーションによって多数の人に波及したい

→Yesだと儲からない。ネット上では、紙媒体のような継続的・劇的なヒットは難しい。(自分の好きな情報しか見ない)

→Noだと、儲からない。

 

主に出版社や取次の視点で、儲かるかどうかを議論していますが、現在の状況がよく分ります。(詳しくは本書をご覧下さい)

このような本が出版されていること自体、ガートナーのハイプカーブで言うところの「幻滅期」に電子書籍は入りつつある、ということでしょうか?

 

確かに私も、本書は電子書籍ではなく、書店で見つけて購入しています。

他にも、電子書籍での購入はほとんどありません。

電子書籍が日本で本格的に普及するのは、もう少しかかるのでしょうか?

 

奇しくも、昨日、Sony Readerも国内投入が正式発表されました。

あるいは、電子書籍が向いている特定分野では急激に利用度が高まる一方で、全体的には徐々にゆっくり普及するのかもしれませんね。

 

さて、そこで私が現在書いている3冊目の本ですが、「採算性はいいから、なるべく多くの方々に読んでいただきたい」という思いがある一方で、「二度目の個人出版で、これがビジネスとして成立するものなのかチャレンジしたい」という思いもあります。

ちなみに、一度目の個人出版は、出版2年間が経過し、いまだに印刷費が回収できていません。

どのようなアプローチで進めるか?

色々と考えてみると、楽しいですね。

 

 

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