「安さ爆発、カメラのさくらや」が閉店
1970年代後半、私が写真を始めた当時、ヨドバシカメラは新宿店のみ。
家電製品を大量販売している現在からは想像もできませんが、写真用品しか置いていませんでした。現像液とか定着液とか印画紙の売り場もそれなりに大きかった、知る人ぞ知る店でした。
店に行くと、黄色い新聞大の価格表を入手できました。
価格表に書いてある値段は、確かに驚くほど安かったのを覚えています。
ただ、何か事情があったのか、しばらくすると価格を明記しなくなりました。
カメラの安売り店といえば、「さくらや」か「ヨドバシ」と言われた時代。
池袋の「ビックカメラ」はちょっとマイナーな存在でしたが、私はここで1980年にタムロンの初代90mm/F2.5を買いました。
店員の方の判断で、店頭在庫を格安で売ってくれたのをよく覚えています。
横浜に住んでいた私は、さくらや横浜店によく行っていました。
あのさくらやの店内でかかっていた「安いよ安いよ断然安い、安い衝撃ぐっと来る~。あ~あセンセイショーン」や、「安さ爆発、カメラのさく~らや~」 という曲は、いまだに時々、頭の中でプレイバックします。
よほど店内にいる時間が長かったのでしょうね。
さくらや横浜店では、現像済で不要になったフィルムのパトローネが大量に積まれていて、自由に持ち帰りが出来ました。
貧乏学生だった私は、トライX等の100フィート・フィルム長巻きをこれに詰めて、写真を撮っていました。
正式の36枚撮りフィルムの半分から1/3のコストで済んだので、かなり助かりました。
写真好きの気持ちがよく分っている、良い店でした。
そんなさくらやが、64年の歴史に終止符を打ち、月内に全店閉鎖するそうです。
残っている4店舗は、親会社ベスト電器の筆頭株主であるビックカメラが引き継ぐとのこと。
ライバルが総合量販店化する時代、大型店舗化に走らなかったのが原因と言われています。
見方を変えると、従来のお客様を大切にしてきたという面もあります。
デジカメの時代になり、パトローネに長巻きを詰めるようなこともなくなり、改めて一つの時代が終わったという感慨を持ちました。