『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまで(最終回):今後の展望
『朝のカフェで鍛える 実戦的マーケティング力』が生まれるまでの経緯を連載でご紹介しています。連載バックナンバーは、こちら。
はじめに、ご報告です。
大変ありがたいことに、松山真之助さんよりWebookでご紹介いただきました。 こちらでご覧になれます。
さて、この連載も、今回で17回目。
最終回の今回は、改めて本を書くことについて考えてみたいと思います。
本を書くのは、かなり苦しい作業の連続です。
構想を作っては壊し、作っては壊し、という作業の末に、やっと構想のようなものが出来ます。
やっとその構想が出来ても、その構想を本にするのがまた一苦労です。
300ページ近い文章を、どこを切っても互いに矛盾ない内容にし、かつ興味を持って面白く読める内容にするためには、とっても神経を使います。
そのようにしてやっと出来上がり、校正段階でのチェックも、神経を使います。
しかし同時に、面白くワクワクする作業でもあります。
例えば、本のアイディアを育て上げる作業。
最初に思いついたアイディアは原石です。何回も見直して、ストーリーを書き直す作業を繰り返して、磨き上げていきます。
読者にとって、どういう意味があるのか、時間をかけて考えていきます。そのようにして少しずつ自分で育て上げ、構想したアイディアを、実際の文章として紡いでいくのも、面白い作業です。
主人公がここで何を考えるのか、どういう気持ちでどのような言葉を発するのか?
そのようなことを、単語単位で考えて、書いては時間を置いて見直し、修正していくことになります。
本書267ページの一言一言が、その膨大な積み重ねです。
今からふり返っても、ちょっと気が遠くなりますが、少しずつよくなっていく文章を作っていくのも楽しい作業です。
本書を書く際の方針は、「分りやすく、無理なく、スムーズに頭に入るようにする」でした。
実際に読んでいただくと、もしかしたら、あまり苦労することなくあっさり書いたように感じられるかもしれません。
もしそのように思われたとしたら、私の狙いが実現できたということで、とても嬉しく思います。
対象読者を想定し、その対象読者の価値は何かを想像し、構想に繋げていき、骨太なストーリーを作っていくのは、仕事で事業戦略を構築するのに似た面白さがあります。
異なる点は、仕事で戦略を構築する場合は、関与する人達とのコミュニケーションの比重が大きいのに対して、本の構想を作る場合は、自分の発想力・構成力に加え、文章力に依存する比重が大きい点でしょう。
また、出来上がったドラフトを想定読者の方々に読んでいただき、自分の仮説が正しかったかどうか検証するのも、クイズの解答が合っているかどうかを待っている時に似た、楽しい感覚があります。
出来上がった本を手にしたとき時の気持ち。
これは格別です。
私のこれまでの経験では、数年間撮り貯めてきた写真作品で構成した写真展の開催初日や、団員が一丸となって1年間の練習を続けて演奏会を開催し思い通りの音楽を全員で創り上げられたときの気持ちに近いかもしれません。
そして、読んで下さった方々からいただく感想は、対象読者に当初の狙い通りの価値を届けることが出来たかどうかを判断する最終審判になります。
このように本を書くのは、苦しいと同時に、とても楽しく達成感がある作業です。
しかし、この本を出すきっかけというものは、なかなか訪れません。
まず、「本を出しませんか?」というオファーがそもそもありません。
私の場合、このような状況だったので、1冊目は自費出版でした。
2冊目もなかなか話しが来ませんでした。幸い秀和システム様とのご縁をいただき、今回、上梓することができました。
しかし、本書を執筆中に、他からは本の話は来ませんでしたので、そもそも、本を出すオファーというものは、一般にはなかなか来ないものなのかもしれません。(しかし、来る人には結構あっさりと来るようですね)
しかし、このような状況の中でも、本を出そうと思い続けることもまた、大事なのでしょう。
さて、1冊目と2冊目は、マーケティング戦略と実践について書かせていただきました。
そろそろ3冊目のことを考え始めています。
これから、また産みの苦しみが始まりますが、それが楽しみでもあります。