企業に眠る宝の山「プライベートクラウド」
クラウド・ビジネスの環境は、もの凄い勢いで進んでいます。
この10日間で、日本IBMも最近、二つの大きな発表をしました。
■3月4日発表:クラウド化したLotusで未開拓市場を掘り起こすIBM
3月4日に行ったLotus Spring Forum 2009で紹介しました。1月に米国で発表された、あのLotusLiveの日本での紹介です。
伝統的にIBMのLotusブランドは、5000人以上の大企業で圧倒的に強いのですが、中小規模の企業は必ずしも強くありませんでした。この市場に、下記ソリューションを提供する予定で、正式には今後順次発表予定です。
LotusLive Meeting: フル機能のWeb会議
LotusLive Engage: オフライン会議支援
LotusLive Notes: Notesクライアントベースの電子メール
しかし、これは既存のLotusソフトウェアビジネスを置換えるモノではありません。
記事にもあるように、大企業では、自社導入で最適化した方が業務改善を図ることができます。
他のSaaS型ビジネス同様、SaaS型のLotusLiveは、早くシステムを導入したいというニーズにお応えするものです。
上記で、いわうるSaaSと自社導入の違いにある程度触れていました。
その8日後の下記発表では、両者の違いに本格的に踏み込み、IBMとしての考え方を示しました。
■3月12日発表:プライベートクラウドはコスト削減をもたらす「魔法の杖」――IBM
ここで述べている「プライベートクラウド」とは、自社内のシステムをクラウド化するという考え方です。
これに対して、GoogleやSalesforce.comが提供しているクラウドは「パブリッククラウド」と呼ぶことができます。
この記事では、IBM自身が、TAPというプロジェクトで84%ものコスト削減(100かかっていたものを16にしたということ)を図った例が紹介されています。この記事には紹介されていませんが、TAPはそれまでのIT調達時間が5日間かかっていたものを、1時間へ短縮化しています。
一般に社内のサーバー、実はあまり効率的に活用されていません。
中には、使用率が数%から十数%程度に留まるサーバーも結構あるのです。
これらをクラウド化し、全体最適をすることで、非常に大きなコスト削減が可能です。
そして、それは単にサーバーを集めるだけでは実現しません。
プロビジョニングやサーバーのモニタリング、ポータル等のミドルウェア技術を組合わせることで、初めて実現できます。
企業の中には大きなコスト削減を実現するための宝の山が眠っているのです。
そのカギが、プライベートクラウドです。
クラウド・ビジネスは、「ドッグイヤー」どころか、「マウスイヤー」をもはるかに凌ぐスピードで進行中であることを実感します。