タスク・チームのススメ(3):リーダーを決める
タスク・チームを推進する際に考えたいことを書いています。
最初に、前回のおさらいです。
・タスク・チームは複数部門が絡む問題を解決するために立ち上げる
・タスク・チームは、トップ・ダウン型またはボトム・アップ型で結成される
・タスク・チームは、単に立ち上げたからといって必ずしも成果は挙らない
・タスク・チームの進め方を理解することで、タスク・チームが成功する可能性が高まる
これから数回、成功するタスク・チームのために、最初の準備段階で行うべきことをご紹介します。
まず最初に行うべきことは、タスク・チームのリーダーを決めることです。ここで言う「リーダー」は「事務局」と言い換えてもよいかもしれません。
トップ・ダウン型で、つまり組織のマネージメント同士の会議等で問題が提起されて、解決方法としてタスク・チームが必要との結論になり、タスク・チーム立ち上げる場合があります。この場合は、会議のアクションプランとして、マネージメント・チームの誰かがタスク・チームの立ち上げに責任を負い、適切な人をリーダーします。
ボトム・アップの場合、言い出しっぺがリーダーになることが多いようです。
問題は、どのような人がリーダーになるか、です。
リーダーになる人は、タスク・チームの顔でもあります。タスク・チームの正否は、タスク・チームのリーダーが握っていると言っても過言ではありません。
タスク・チームのリーダーとして必要とされる特性は、次のようなものです。
(1).グッド・コミュニケーターであること
つまり、人の言うことをよく聞くことができ、多様な価値観を受容でき、異なる組織文化に対応できること。さらに、異なる意見が出たときに、それを否定せずに受け入れ、よりよいものに昇華できること。
仮にネガティブな要素が出てきた場合でも、それを隠さずにオープンな議論を通じて解決する姿勢を持っていることが必要です。
(2).変革のリーダーシップがあること
「俺についてこい」というリーダーシップは不要です。他人の意見に耳を貸さない面が出るとしたらむしろ弊害が多いのです。
ここで必要なのは、常にチーム全体が問題分析と解決に集中できるようにし、活発な議論を促し、結論とアクションプランを導きだし、フォローできるようにすることです。さらに、そのための仕組みを構築できること。
そして、決して場当たり的ではなく、構造的に問題解決に向かってアプローチできること。
これが出来るのであれば、仮に態度が控えめであったとしても、リーダーシップに必要な条件を満たしています。
(3).事務的な作業(アドミ)の手間を惜しまず、マメにフォローできること
会議が終わったら議事録を必ずすぐに出す、定期会議とは別途にメンバーと根回しを行える、等、タスク・チームを円滑に運営するために必要な作業を手間を惜しまずにフォローできることです。
(4).会社の組織についてよく分かっていること
タスク・チームには複数部門が参加しており、それぞれの組織で組織特有の事情を持っています。
それぞれの組織について概要を理解していることが望ましいのですが、これは、上記(1)-(3)と比べると重要度はやや低いかもしれません。例えば仮に組織の事情を知らなくても、グッド・コミュニケーターであればそれを補完することができます。
場合によっては、上記の条件を満たすために、事務局を複数名で構成することも必要になるでしょう。
タスク・チームのリーダーも本来の業務を持っています。しかも、他タスク・メンバーと比べると、上記にあるようにタスク・チームにかける時間ははるかに多くなります。
このような状況で、タスク・チームに従事するためには、本業の目標とタスク・チームの目標が出来る限り近い人がリーダーになるのが望ましいでしょう。タスク・チームが成果を挙げることで、自分の本業の問題が解決できる範囲が多いためです。
例えば、マーケティングは、部門をまたがる仕事を担当することが多いので、タスク・チームのリーダー候補として適任かもしれません。実際、私もタスク・チームのリーダーを担当させていただくことが多くあります。
次回は、任命されたタスク・チームのリーダーが最初に行うべきことをご紹介します。
関連リンク:
■タスク・チームのススメ(1):タスク・チームって何?
■タスク・チームのススメ(2):タスク・チームはどのように立ち上げるのか?