自費出版の道#13: 入稿前の原稿チェックで大量の間違いが発覚!!
ここまでの作業で、原稿でたくさんの間違いを発見し、修正してきました。
「ほぼ原稿も完成かな」と思った段階で、ITmediaエンタープライズ編集長の浅井さんとオルタナティブ・ブログ運営事務局の鈴木麻紀さん(ばんちょ~)に原稿を見ていただきました。
さすがに、編集のプロはすごいですね。
出てくる出てくる。
たくさんの間違いを見つけていただきました。
1.使っている単語が統一していない件。例えば、
・「売り上げ」「売上げ」「売上」→「売り上げ」
・「問い合わせ」「問い合せ」→「問い合わせ」
・「等」「など」→「など」
2.用語の修正の件
・「人達」→「人たち」
・「様々」→「さまざま」
・「関わる」→「かかわる」
・「尚、...」→「なお、...」
・「但し」→「ただし」
・「辿り着き」→「たどり着き」
・「囚われる」→「とらわれる」
・「...する訳では」→「...するわけでは」
・「欲しい」→「ほしい」
・「一通り」→「ひと通り」
・「他」→「ほか」
・「筈」→「はず」
・「全て」→「すべて」
・「一旦」→「いったん」
・「よい」→「良い」
・「わからない」→「分からない」
・「時間がかかります」→「時間が掛かります」
・「知りえない」→「知り得ない」
・「数ヶ月」→「数カ月」また、原稿では、普段の仕事の習性から「お客様」という言葉を使用していましたが、読者からみると違和感があるとの指摘をいただき、すべて「顧客」に修正しました。
3.表記の統一の件
・半角と全角のゆれ:?と?など
・著者の引用方法。「さん」つけだったり、「マイケル・ポーター」というように呼び捨てだったり。敬称を統一しました。
4.中黒の取り扱いの件
・「バリュー・プロポジション」→「バリュープロポジション」
・「ライフ・サイクル」→「ライフサイクル」基本的に、3つ以内の単語は・削除がよいようです。
5.明らかな誤字が残っている件
・「(キャズムを)超える」→「(キャズムを)越える」
・「プレーヤー」→「プレイヤー」
・「実施の段階で中座する」→「実施の段階で頓挫する」
など
6.私の文章の癖の件
・接続詞として「従って」という言葉を多様していました。「本来、接続詞がなくとも意味が通じるように文章を組み立てるべき」というご指摘をいただきました。
・強調する意味で「非常に」という言葉も多用していましたが、ほとんどの場合は不要でした。
蛇足ですが、「従って」と「非常に」という言葉が入った自分の文章を改めて見てみると、少し頭が悪そうに見えてしまいました。(他にもいろいろな癖が分かりました)
従って、非常にかっこわるいので削除しました。
7.その他
・「マイケル・ポーター」とか「ヘンリー・ミンツバーグ」などの名前がいきなり出てくるのは読者にとって分かりづらい、とのご指摘をいただき、「○○大学の」「経営学の」等の説明を加えました。
・「各章にまとめを入れた方がよいのでは」との指摘をいただき、追加しました。
おかげさまで、「素人の手作り感」が強かった本も、それなりの本に近づいてきたように思います。(浅井さん、鈴木さん、感謝感謝です!)
今回の本では、ドラフトが出来上がってから入稿するまでに、原稿チェック&修正で1ヶ月半かかりました。
自分の経験では、原稿をチェックする際には、「内容の見直し」と「表記の誤り」を分けて考える必要がありそうです。
内容についてはワープロ上で徹底的に詰めておくことが必要です。
なぜなら、印刷原稿の校正段階では、内容の校正を行うのは非常に困難だからです。
例えば、章立てを変えて構成やロジックを変えるのは、ワープロ上では比較的簡単にできます。しかし、印刷原稿では指示と結果の再確認がきわめて難しくなります。
そのためには、書き始める段階で全体の構造をあらかじめデザインしておいて、全体の構造を常に把握しながら、適宜修正していくことが必要なのではないかと思います。
内容の大きな修正がなくなった段階で、最後の仕上げとして表記のエラーを確認することになります。
私の場合、最初の段階で表記の誤りはほとんど意識できていませんでした。
原稿を書く段階である程度意識していれば、上記で挙げたエラーはかなり減らせたと思います。
カナ漢字変換ソフトでエラーが発生するケースもあるので、必要であれば精度が高いカナ漢字変換ソフトを事前に導入しておくことも必要でしょう。
また、できる限り入稿前にエラーは全滅させておきたいところです。
ワープロ原稿の段階であれば、同じパターンの間違いであっても、検索して順次修正するのは比較的容易です。
しかし印刷原稿の校正段階になると、修正依頼は全て筆記することが必要で、かつ、次の校正で修正されているか再確認する必要があり、とても難しくなります。
いずれにしても、入稿前の原稿確認はできる限り徹底して行うべきであり、その際には、上記のような日本語の用法には注意したいところです。
そして、そのためにも、出来る限り大勢に見てもらった方がよいと思います。
「オープンソース4部作」で有名なエリック・レイモンドは、著書「伽藍とバザール」の中で、
「目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない」
と書きました。
書籍の品質も、同様にチェックしていただける人の数が多ければ多いほど、よい本になるのだ、と実感しました。