自費出版の道#02: 初出版への道は、イバラの道(1)
実は私、以前より本を出したいと思って、色々試みてきました。
とは言っても、今回のような仕事の本ではなく、写真の本や写真集です。
今回はそのことを書きます。
10年以上前から個人のホームページに写真作品を掲載していたこともあり、出版社の方から「素晴らしい写真なので写真集を出版させて下さい」というお声をかけていただいたことも何回かありました。
中には、それなりに名前が通った出版社もありました。
しかし、よく話を聞いてみると、すべて「ただし当社としてもリスクがあるので初版の費用は折半でお願いします」という話。
「リスクを折半する」とは言うものの、100-200万円程度の持ち出しになります。
実は、自費出版の営業でした。
考えてみると、いくら素晴らしい写真であっても、無名のアマチュア写真家に対して、出版社が自社負担で出版に応じることはあまり考えられません。
そこで、費用折半での出版を提案することが多いようです。
厳しい出版業界としては、何とかしてリスクを下げたい、という苦肉の策なのでしょう。
一方でこの方法は、書店に置いていただける可能性があることを除けば、実態は自費出版と同じです。
やはり「ちゃんとした形で出版したい」との考えがあったので、この手のお話は丁重にお断り致しました。
また、ある知り合いの作家の方にお骨折りいただき、出版社の編集の方をご紹介いただいたこともありました。アポを取っていただき、出版社まで写真のプリントを持って出かけました。
写真を一通り見ていただき、「せっかくの○○さんのご紹介だし、難しいですけど色々とアイディアがあるので、検討してみましょう」ということで、ある有名作家の小説と組み合わせた出版を提案してみます、とのご返事をいただきました。
しかしその後、こちらから何回か問合せをしましたが、ご返事がありませんでした。
この編集者の方、大変忙しい方でした。自分の手持ちの緊急案件だけで手一杯で、このような話をフォローするのは難しいのでしょうね。貴重な時間を割いて話を聞いていただいただけでありがたかったです。
一方で、雑誌に記事を掲載する機会はいくつかいただきました。
例えばレンズ評価記事を学研の写真雑誌「CAPA」のムック本に掲載いただいたり、写真展開催のノウハウをCAPAの月刊誌に掲載いただいたこともありました。
自分の文ではありませんが、写真展を開催した際に、インタビュー記事を写真雑誌に掲載していただいたこともありました。(ちなみに、記事のリンク先には、私の15年前の写真が乗っています。若いです)
しかし、これがなかなか拡がりませんでした。
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!」というメルマガで、1年間半かけて本一冊分の分量を書いたこともありました。
写真の技術面に関する本は多いのですが、これはアート的プロフェッショナル・フォトグラファーとしてのアマチュア写真家の心得を書いたもので、今まで世の中にはない内容でした。
よく、「メルマガを書いていたら本の出版の話が舞い込んだ」という話を聞きますが、このメルマガの場合は読者の方々から反響は結構あったものの、書籍化の話は来ませんでした。
他にも、パーティ等で出版社の方と知り合いになると、勇気を出して「本を出してみたいと思っているのですが」と、写真のテーマ以外にも、マーケティングの話や、戦略の話、ビジネススキルの話、グローバル化と日本の話等、懐に暖めている企画をお話しするのですが、なかなか実現化しません。
常にネックになったのは、まだ出版した実績がないことです。
考えてみれば当然のことで、全くネームバリューがない、海のものとも山のものとも分からない人間の本を、リスクを取って出版する必然性は、出版者側には全くありません。ビジネスとして、当然のことです。
そのようにして、時間は過ぎていきました。