新市場に名前が付いた時点で、市場参入は既に手遅れという話
本日(2007/3/31)のNIKKEIプラス1で、「流行現象がまだ兆しの段階だと、その表現が定まっていない」例がいくつか紹介されていました。
例えば、同紙が、菓子メーカーとレコード会社の組合せによる流行発信の「コラボレーション」について2000年11月の時点で「異色タッグ」と紹介したり、駅構内の飲食店店舗「駅ナカ」も初期には「改札内グルメ」ほど浸透していなかったケースが紹介されています。
このように市場の名前が定まっていない段階は、市場がこれから立ち上がろうとしている段階であり、新規参入のチャンスといえます。
逆にその市場の名前が決まっている時点では、その市場は既にある程度の大きさになっており、固定顧客も存在しています。
このような既に認知されている市場に参入することは、一見リスクが少ないように見えますが、その市場でリーダー企業となることは困難です。
固定顧客が存在している状況で参入しても、既に同じ市場でリーダーの地位を確立している経験豊富なライバル企業が存在しているからです。
調査会社がその市場サイズ等の市場レポートが出ていたりする段階は、これに輪をかけて出遅れていることを示す証になります。
このことから考えると、市場データを元に市場に参入するかどうかを判断するというのは、あまり意味がなく、むしろ完全に手遅れ、ということになります。(但し、参入済の企業にとっては、市場データは今後のビジネスを把握する上で貴重な情報を提供してくれます)
やはり、市場に参入するかどうかを検討すべき段階は、その市場そのものに名前が定まっていない時点ということですが、その市場が成長するかどうかは未知数です。
従って、経営の観点では、新規市場参入の回数を体力のある範囲でこなせることが大切であり、これによって将来の収益源を確保することができます。
つまり、そのような市場の萌芽に気が付いたらすぐに参入でき、かつ小さな投資で始められる体制整備が必要になるます。
一方で、出遅れ組にもチャンスはあり得ます。市場の状況が大きく変わる段階です。
例えば、ガートナーのハイプカーブで言うところの、市場の過度な期待が収まって幻滅期に入る段階は、お客様のニーズが変わり、ゲームルールが変わるタイミングでもありますので、新規参入組にとっては先行企業の事例を十分に学び、新しいルールに沿ってで参入できる、という意味で、大きなチャンスです。
但し、このタイミングで、新規参入企業がリーダー企業と同じことをやっていては意味がないことは、言うまでもありません。