なぜ、買った商品の記事が気になるのか?
こんな経験はありませんか?
- クルマを買った後に、そのクルマの記事ばかり見ている
- 高価な服を買った後に、ファッション雑誌でその服のことが記事になっていると気になる
高額商品を買った場合、買った後なのに何故かその商品の記事や広告をじっくり見てしまう、という経験は、多くの方々が経験されていると思います。
実際、宣伝を一番じっくり見るのは、その商品を買った人間である、ということが多いようです。
何故こんなことが起こるのでしょうか?
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実は、人は「一貫性のある自分」でいたいのです。
従って、購入後、「自分は正しい選択をした」、と思いたがっています。
そのために、「自分が正しかった」ということを証明する情報を集めようとします。
これは「認知的不協和」と呼ばれます。マーケティングプロモーションや市場調査を行う際、この考え方は非常に重要です。
消費者は、自分の購入判断が正しかったことを支持する情報が得られれば、それを他の人にも伝えますので、結果的にクチコミで顧客も増えます。さらに、将来的に既存顧客は再購入します。
従って、ユーザーに「この商品を選んでよかった」と思っていただくことが極めて重要です。
また、広告やプロモーションは、必ずしも購入前の潜在顧客(プロスペクト)だけを対象にしていません。既存顧客(ユーザー)が、「この商品を選んでよかった」と思わせる効果も持っています。
このように考えると、先日紹介したこちらの衣料ブランドのケースは、「しまった。あそこで買わなければよかった」という大きな認知的不協和を発生させてしまうわけで、非常に問題があるということになります。
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認知的不協和を一生懸命に解消しようとするのは、一般的に欧米人が多いそうです。
確かに、欧米人はロジックに厳しいですし、東アジア人は一般的に矛盾にも寛容です。この辺りは、一神教と多神教の違いが関係しているのかもしれませんね。
近年、マーケティングや経済では、心理学にも踏み込んだ研究が行われています。
従来の経済学では人間は合理的な存在と考えられてきましたが、実際にマーケットや経済を動かしているのは生身の人間です。
私達は、ロジックだけで割り切らず、人の心の機微まで考えることが必要なのでしょうね。