マーケティングの99.9%は仮説
竹内薫さんが書かれた「99.9%は仮説」という本があります。
「飛行機がなぜ飛ぶのか根本的な原理は実は必ずしも分かっていない。経験則に拠っている」という話から始まり、科学の基本のほとんど全ては仮説であり、必ずしも根本的な原理が明快に分かっている訳ではない、ということを分かり易く書いています。
科学の基本的なアプローチは、色々と実験をして生データを集め、規則性を見つけ、仮説を立てて理論を発見し、その仮説を実験で再検証する、というものです。16世紀から17世紀にかけてフランシス・ベーコンという人が提唱したもので、「帰納法」と呼ばれる方法です。
考えてみると、マーケティングの世界も、仮説そのものです。
市場調査は、マーケティング戦略の仮説を構築したり仮説の確かさを検証したりするために行われます。
キャンペーンやプロモーションも、「このキャンペーンを行うと、顧客はこのように考え、このように反応し、その結果、このような結果になる(筈)」という経験則に基づいた仮説に従って行われます。
そう言えば、「仮説検証型マーケティング」という言葉もありますネ。
色々な手法、ツール、モデルも、「経験則による仮説をまとめたテンプレート」である」、と考えて使うとよいのかもしれません。
マーケティングに絶対普遍な原理があるのか、というと、個人的には、どうもそのようなモノはないような気がします。(強いて言えば、人間に対する深い洞察を持ったドラッカーあたりが、一番近いかもしれません。これも状況によって変わる可能性がありますが)
一方で、マーケティングでは人間に対する深い洞察が不可欠、という観点では、アート的な側面を持ちます。実際、素晴らしいマーケティングの成果物は一個のアート作品でもあります。
「マーケティングは、科学であり、アートでもある」と言われるゆえんは、この辺りにあるのかもしれませんね。