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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

もっと積極的に政治に国民の声を!

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衆議院選挙も、投票日が明日に迫っている。そもそも雨後のタケノコのように次々と出てくる新たな政党は意味不明だが、一方で既成政党への不信が募っているのは理解できる。

ただ、思い起こさなくてはならないのは、改革を期待した民主党のこの3年の惨状だ。ここで何が分かったかと言えば、要は素人に政府の運営は出来ない、或いはさせては危険だということだ。普天間にしても、震災対応にしても、そのことは明白と言わざるを得ない。

だから、心地よい主張を述べているからと言って、新党にあまり期待しない方が良い。中国の侵略的な動き、国内の産業劣化、震災復興の必要、引き続き重くのしかかる少子化・高齢化、巨額の財政負債など、国民生活のレベルを下げてでも思い切った変革を求められる現状では、きちんと進めることのできる経験を持った政権が不可欠だ。

もちろん実際にはこの選挙自体一票の格差の問題から比較的早い段階でやり直しをせざるを得ないとは思われるが、まずは安定的に議論を進められる土壌作りが重要だ。もちろん、だからと言って自民党政権の過去の責任を無視するつもりもないし、一方で様々な失敗をしたとは言え、その後の分裂によって純化し、更にある意味での決断を見せた民主党にも、逆に期待できる部分もあると思っている。

だが、重要なことは、ポピュリズムに陥り10年、20年先を見据えた政策を打てない状況をこれ以上続けてはいけないということであり、その意味である程度安定的な政府を求めたい。そして、その中で最も大事なことは、その政府に本当の意味で国民の声を伝えることだ

その意味で、代議制民主主義において、本来それぞれの政治家がその選挙区などの国民の声を反映し、一方で政治の実態については、国会で議論されるとともに、マスコミを通じて国民に伝えられるというのが、現代社会の仕組みだ。

だが、政治家それぞれがポピュリズムに陥り、また政治に関わる情報は必ずしも十分に開示されず、更にこれを国民に伝える役割のマスコミのレベルがあまりに低いために、その役割を果たせていないのが現実だ。もっと言えば、今のマスコミは、民主党の政権奪取の際も含めて、ただなにか変わることを公共の電波を通じて国民に押し付ける無責任な主体である。

今、我々が考えるべきことは、どうやって政治に関わる情報を直接意識ある個々の国民に伝え、その意見を踏まえて政治が行われるような仕組みを作るか、もっと言えば、従来型の代議制民主主義ではなく、直接民主主義的な修正を加えた新たな民主主義の仕組みを作ることだと考える。

その一つの試みが、財務省や予算委員会、決算委員会があるにも関わらず開催された事業仕分け。第三者である仕分け人が政府関係者に直接質問をし、これを公開することで国民の目に明らかにしていく。この延長線上に行政事業シートの試みがある。

ただ、事業仕分けの仕組みだけでは限界があるのも事実だ。私にも明確なアイデアがあるわけではないが、要は政策項目について情報がよりオープンに流され、それに対する真面目な国民の意見が反映される仕組みづくりを考えていきたい。

その関連でちょっと気になっているのは自治会。自治会館を持つようなケースは認証を得ることになっているが、基本的には任意の団体だ。でも、通常必ず加入させられることになっている。そして、実際は自治体から様々な委託を受け、行政の一翼を担っている。

でも、自治会は、どこにも法律の根拠はないし、行政の末端としての役割も明確にはなっていない。そして、その地域の長老が会長を務めるという仕組みだ。何かこれを活性化させる方法はないのか?ウェブの発達で情報の流れは確保できるが、バラバラの情報をそのまま国民から政府に伝えるだけでは、きちんとした将来への議論は出来ない

とすれば地域地域で様々な議論を行ってその成果を伝えていくようなことは考えられないか?全くの暴論だが、そのようなことも一つの考え方だ。もちろん様々な団体が、自由に集まってその会員間で議論して、という方法もあるだろう。だが、この形式ではどうしても声の大きな人たちだけが表に出ていくようになる危険がある。その意味でより普遍的に声を集める仕組みが必要だ。

もう一つのアイデアは、国会議員が国民の声を聞くことを義務付けるということ。選挙対策ではなく、広く国民の声を聞くために、予算を講じて報告をさせるというのも、現制度の修正版としては考え得る。もちろん実効性の確保は容易ではないが。

まだまだ私の考えも生煮えだが、是非斬新なアイデアで、現代社会にふさわしい、そしてわが国の将来を国民全体で議論できるような仕組みを作り上げたい。それが実現すれば、きっと日本は世界からも評価される存在になると確信している。

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