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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

皆で「国」の目標を考えたら?

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そろそろ桜の季節が近づいていますね?私の息子も、この間薬科大学を出るので、卒業式に行ってきました。3月下旬にも関わらず大雪だったのはさすがに新潟ですね?皆の周りにも、当たらな一歩を踏み出す人たちが沢山いると思います。一年の計は元旦にと言いますが、日本では年度初めが4月なので、この時期にいろいろ考える人も多いはず。いつもは、自分のことや会社の経営のこと、或いは新たな家庭のことなどを考えるのだろうと思いますが、一度皆でこの国の目標というものを考えたら思います。

目標と言っても、例えば財政生収支バランスをどうするかとか、社会保障をどうするかとか、少子高齢化をどうするかとか、経済構造をどうするかとかいう、いわゆる政治課題のことではありません。大仰に言えば、人類社会の中で、或いは世界の中で、日本をどのような国にしたいか、考えてみようということです。

この間、社会企業大学の特別講演で田坂広志さんの話を聞きました。所用で中座させていただいたのですが、人はなぜ「志」を持って生きるのか、というような内容だったと記憶しています。人間が生きる以上、出来れば少しでも多くの人の役に立ちたいと思うのは自然なことだというところから話は始まりました。

東日本の震災に対して、辛抱強く立ち向かい、助け合う日本人の姿を見て、感動した多くの海外の人々がいます。もちろん助け合いは日本だけの専売特許ではありません。そして、本当に我々日本人は一体何が出来るのかということは、彼我の差の認識を含めて真面目に検討する必要があります。

ただ、通常言われている民度の高さ、人に対する優しさ、勤勉さ、助け合いの精神、手先の器用さや、産業としての製造技術、環境問題への早期対応、更には被爆の経験と平和憲法、無血での近代化実現、そして未だ世界第三の経済大国、などなど様々なヒントはあるので、この日本の特徴を踏まえて、何が出来るか、何が相応しいか、考えてみたいと思うのです。

一つ簡単に思いつくのは、日本が未だに経済大国で、しかも工業化技術についてはまだ相応の水準にあるということです。この経済力と技術を持って、それぞれの地域の人々と一緒に経済基盤の構築を進めることで、世界の発展に貢献するというのが考えられます。いや、既にODAでやってきている、ということかもしれませんが、本当にこれまでのやり方が百パーセント目的を達成してきたか、違うやり方はないのか、など検討すべき余地はあると思います。

それ以上に、貧富の差が益々大きくなっている世界の現状では、やはりソフト面での支援も重要になってきています。教育や医療の分野で、貧困国に自ら赴いて少しでも貢献するということが考えられます。これはNPOがやっているではないか、NGOがやっている、或いは青年海外協力隊だ、などなどという声があると思います。もちろんそのような方々の活動は尊いものですが、もっともっと国として、或いは日本国民として「日本人は世界中で教育・医療関連で様々な活動を展開する形で、世界中で群を抜いて人類社会に貢献している」という国を目指すということも考えられるのではないでしょうか?

更にあり得るのは、八百万の神を信仰する、つまり現人神を持たないある意味で無宗教の日本の特性を生かすことです。残念ながら戦争の世紀と言われた20世紀を上回る勢いで紛争が起きている今日この頃ですが、その多くが民族的な、或いは宗教的な対立を原因としています。この解決に、イスラム教もキリスト教も同じく宗教として尊重することのできる日本は、何か役割を果たすことは出来ないでしょうか

また、今回の原発事故もさることながら、過去を遡れば、様々な公害事件をわが国は経験してきました。もちろん経済発展は素晴らしいものですし、生活水準が上がることはとても心地よいものです。でも、その陰で、どれだけの負担を人類はその揺り籠である地球に強いてきたか?この公害などの経験を踏まえて、日本が地球環境を守るという人類にとって最も大事なアジェンダに貢献するというのもあると思います。京都会議の成果をどう現実につなげるか、というのもその第一歩かもしれません。

もちろん日本の目標と言っても、それぞれの国民の価値観は様々ですから、誰もが同じ方向性を見据えることにはならないでしょうが、ここに書いた内容は多分大きな反対はないでしょう。その中で一つでも二つでも、当面の10年、20年の目標にして、政府や企業、NPO、そして個人が日本人として本気で取り組む、ということがあれば、少子高齢化、財政赤字、経済低迷という暗い世の中を、もっと前向きに変えることが出来るように思います。

 

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