アナリティクスでIBMが紡いだ物語 『IBMを強くした「アナリティクス」』で知るビッグデータ31の実践例
2014年春に米国で出版された、IBMが社内で実践したアナリティクスの事例を紹介した書籍『Analytics Across the Enterprise』は、多くのお客様にとってアナリティクス活用のヒントやアイデアの礎となると話題になりました。この度、待望の日本語翻訳本『IBMを強くした「アナリティクス」』が出版されました。IBM、そしてIBMのリーダーたちは、どのようにアナリティクスを実践したのか、日本語版の監訳者である日本IBM ビジネス・アナリティクス&オプティマイゼーション サービス シニア マネージング コンサルタント データ・サイエンティストの山田 敦に話を聞きました。
本の内容を簡単にご紹介ください
山田 「この本は、人事、サプライチェーン、経理財務、IT、営業など9つの業務領域においてIBMが実践した31の物語です。単なる事例紹介でもなければ、ソリューション説明でもない、IBMが紡いだ物語なのです。ですから、各業務領域のリーダーたちがどんな課題意識を持ち、どんな組織を作ってチームをリードし、成功に向けて皆がどういう働きをしたかが詳細に描かれています。
例えば、経理財務部門のリーダーにとっては、過去を正確に会計報告することが大切な仕事でした。しかし、もっと未来に貢献する組織にしたいと考えた彼は、財務データを分析して経営の将来への示唆を導けるように経理財務部門を導きました。
アイデアを実現するために、時に基礎研究所の支援を得て、テクノロジーで困難を克服する事例も出てきます。輝かしい成功事例だけでなく、道半ばの事例も紹介されています。しかし、そこからも多くの気づきが得られると思います。」
この本をお客様にどう活用していただきたいですか
山田 「章毎に業務分野が分かれていますので、人事担当のお客様は2章を、サプライチェーン担当のお客様は3章を、というようにまずは関心業務の章を読んでいただければと思います。しかし、ぜひ全章目を通していただけると、関心業務以外からも多くの気付きがあるでしょう。また、各章の最後には改革を通して学んだ教訓がまとめられています。実際の改革を進めた当事者が語る教訓は、お客様にとっても示唆に富んだものではないかと思います。」
具体的にどんな事例が紹介されているのですか
山田 「例えば、中国やインドなど成長著しい国々では、優秀な社員の離職率の高さが問題になっています。社歴、現在の仕事や給与、昇給率などの属性を分析して、社員の離職リスクをアセスし、辞めてほしくない社員をつなぎとめます。
営業の分野では、仮に営業社員が1万人いたとしたら、彼らをどのように配置すれば会社の収益が最大化するかという課題をアナリティクスで解いています。お客様の業種毎に将来の成長予測を立て、それに対する現在の人員配置が適正になっているかを分析します。
また、サプライチェーンの分野では、サーバーなどハードウェア製品の組み立てに、部品メーカーからの納入が滞りなく行われることが重要です。ある事例では、ソーシャル・メディアを分析したところ、ポルトガル語の書き込みからある会社が大規模なストライキを計画していることが分かりました。なんとプレスが報じる6日前にその情報を入手することができたため、サプライチェーンの混乱に対処できたのです。」
IBMのリーダーたちが、アナリティクスを活用して、どう組織を作り、どうビジネスにいかしてきたのか、皆様のヒントになれば幸いです。
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