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世界を変える何かは、既に近くにあるかもしれない

イノベーションの流れが変わる!? - Trickle-up innovation

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Business Weekの3月23日-30日号に、"Innovation Trickles in a New Direction"という記事があり、新しいinnovationの形として、"trickle up"というモデルが紹介されています。

General Electric's (GE)社が、US市場で、小型の心電計を発売を検討しているそうです。これは、現在市場に出回っているモデルよりも小型で安価であり、金融危機で価格が買い手にとって重要なファクターである現在、大きな需要が見込まれています。この話そのものはinnovationではないのですが、興味深いのは、この製品が2008年にインドと中国向けに開発・販売されたものであり、それをほぼ同じ形でUS市場に展開しようとしていることです。

従来の技術製品の販売戦略は、"triclke down"、つまり、最初に先進国で高価格で販売し、新モデルに代わられる時点で、価格を下げて、新興国で発売するというモデルが普通でした。"trinckle up"は、逆に、新興国でまず発売し、その後で成熟市場に売り込むというモデルです。

このモデルが注目されているにはいくつかの要因があります。

新興国の市場では、低価格が普及のための大きなファクターですが、先進国では、低価格路線がブランド価値を損なう場合もあり、が必ずしも最良の選択ではありませんでした。しかし、不況が全世界に広がった今、先進国でも低価格が購入の原動力となりつつあります。

また、低価格の製品が、新たなマーケットを開拓するということもあります。前述の心電計の例だと、これまでの高価格な製品では、主に(ある程度の規模の)病院が顧客ターゲットだったのですが、低価格化、小型化(例えば機能を制限して)することで、地方の小さな病院や、患者の自宅を訪問する看護師さんに使われるようになったそうです。

さらに、新興国市場そのものが、企業にとって魅力的な市場になってきたことも見逃せません。先進国で人気の製品が、必ずしも新興国でも受けるとは限りません。Xerox社は、2009年2月に、インドのスタートアップ企業が開発した有望な技術を探しだし北米市場に展開するために、2人の"innovation manager"を採用しました。

世界がフラット化し、イノベーションも世界中の至る所で生まれてくるようになりました。世界を変えるイノベーションが我々の身近で生まれる可能性があることにはとてもわくわくします。しかし、それをいち早く見つけ出し、広めていく眼力が、企業にも、そして我々にも強く求められているという意味で、もっと広く大きな目を日頃から持っていたいと思う今日この頃です。

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