エンタープライズPaaSにおける5つのトレンド (あるいは苦言)
Business Cloud Newsの記事 "Five key enterprise PaaS trends to look out for this yearを読みました.トレンドというよりクラウドベンダーに対する苦言も多いような気がしますが :-) 5つのトレンドを超訳でご紹介します.
1) PaaSの標準化はコンテナ技術と共に進んでいく
2) Microservicesは重要であるが,概念レベルの議論が先行している
3) IoTは,PaaS実装の牽引役となる
4) OpenStackのコンテナ採用は混乱を招く
5) 可搬性をうたうPaaSにおいてもベースとなるインフラに関してはロックインが生じる可能性がある
個人的には,1)と3)は文句なく同意です.例えば,オープンPaaSの実装Cloud Foundryでは,元々コンテナ技術が使われており,管理されたサービスのライフサイクルを享受することができます.また,Dockerとの統合も進められています.IoTでは,大量のイベントを収集し処理するのに,スケーラブルなプラットフォームが必要です.各社IoTのプラットフォームを公開しつつありますが,レイヤーとしてはPaaSになると思うんですよね.
2)については,使えるサービス/APIの拡充やAPI Managementの重要性の認知が進んでおり,少しずつ変わっていくと思います.手前味噌で恐縮ですが,私が仕事として推進しているBluemixでは,100個以上のランタイムやサービスAPIが利用可能になっていて,Miicroserviecsが具体的に実感できるようになっていてお勧めです :-)
4) については,そもそもPaaSとIaaSの守備範囲が一部オーバーラップし始めていることに起因しているのではないかと思います.OpenStackがコンテナを重視することは,IaaSがPaaS方向に延びていると言えますし,逆に,コンテナや仮想マシンの振り出しををサポートするようなPaaSも出現しています.ユーザーから見て,これを選択肢の拡大と見るか,何を使っていいかわからなくなると見るかは微妙ですよね.
5)については,プライベートPaaSにおいては,インフラの選定と管理にはそれなりに注意が必要ですが,パブリックPaaS環境においては,(コンテナの普及と相まって)インフラに関しては,それほど深刻なロックインが起こるとはないのではないかと... 個々のサービスやランタイムについても同様で,チャレンジとしては複数のサービスのオーケストレーションの定義のところかなと思っています.
と,つらつら私見を述べてみました.PaaSってそもそも定義しずらいな,と思っていることもありますが,それだけIaaSやSaaSにはない伸び幅を持っているのではないかと思っています.