「鏡音リン・レン」の名前からRとLについて考察する
いまもっとも注目を集めている双子「鏡音リン・レン」は、リンがRinで、レンはLenと表記するそうなので、これにちなんで英語のRとLの違いについて考察してみたいと思います。
「日本人は英語のRの発音ができない」とは、よく言われることなのですが、実はこれは誤解なのです。日本人はRの発音ができないのではなくて、「ラリルレロ」、つまりローマ字では「Ra Ri Ru Re Ro」と表記される音の中に、Rの音とLの音がごちゃ混ぜになっていて区別ができなくなっていると言うのが正確だと思います。
簡単に言ってしまうと、Rはラリルレロの低い音、Lはラリルレロの高い音と区別することができます。たとえば、ドレミファソラシドの「レ」と「ラ」は、英仏伊語では、それぞれ「Re」と「La」と表記されるように、ヨーロッパでは異なる音として認識されています。
日本人でもロンドン(London)と言う時は、始めのロを高く、ちゃんと「Lo」と発音しているし、パリ(Paris)ではリを低く発音するので、ちゃんと「Ri」になっています。
ところが、たとえば「ULTRA」(ウルトラ)という単語は「UL」の「L」を高く、「TRA」の「R」を低く発音しないといけないのですが、日本人はこれを「ル」を低く、「ラ」を高く、つまり「URTLA」と、まったく反対に発音しています。また「ラーメン」は、「La-men」と発音しているのに、ローマ字では「Ra-men」と表記してしまいます。
日本人は、ある時は「R」も「L」も区別がついているのに、ある時は、正反対だったり、「R」と「L」の片方だけを間違えていたりしている、つまり、ごちゃ混ぜになっているだけで、決してRだけが発音できないというわけではありません。ただ、この状態は、欧米人からすると、さっぱり訳がわからないというだけなのです。
そして、英語においては、「R」または「L」を言いやすくするために、その前後を高く言ったり低く言ったりするので、「R」と「L」の音の違いがわからなかったとしても、前後の発音の仕方によって「R」か「L」を推測することができます。それほど厳密なものなのです。
ここで紹介した説は、もちろん専門的な学説ではなく、感覚的なものなのですが、それほど間違っていないと思います。西村肇『サバイバル英語のすすめ』(ちくま新書)という本でも、紹介されています(西村氏は「日本人はLの発音ができない」という前提で話をすすめていますが、論旨は同じです)。同書のまとめを紹介すると
Rは「低く響く音。顔を下に向けル・・・と響かせる。これは胸に響く」
Lは「明るく高く響く音。顔を上に向け、自然に舌を上あごにつけてルーと響かせる」
キャラクター・ボーカル・シリーズでも、将来は、英語の歌がきちんと歌えるものが開発されると、いっそうボーカロイドの可能性が広がることでしょう。