オルタナティブ・ブログ > 安藤怜のロンドン灯 >

英国ロンドン発のニュースなど

キヤノンのインクが消えた

»

ロンドンに来てから購入したプリンターは、キヤノンの『i250』という単機能モデルでした。この型番は、日本では、使われていないものなのですが、インクの方は、日本でも売られている『BCI-24』のブラックとカラーを使用します。ところが、このインクが、半年ぐらい前から、品切れになっていることが多くなりました。

私の家から西の方に10分ほどいくと、少し大きな商店街があります。ここではプリンターのインクを扱っているショップとして、家電量販店の"The Currys Digital"(旧DIXONS)、書店兼文房具店の"WH Smith"、写真店の"JESSOPS"、文房具店の"Ryman"と4つあります。以前は、この4つのうちのどこかに行けば、『BCI-24』は必ず買えたのですが、半年くらい前から、何件か回らないと買えなくなってしまいました。そして、最近になると、ひどい時には4件とも品切れ、ということすらありました。

イギリスの、この手のショップでは、プリンターのインクは、万引き防止のために、レジの後ろに並べてあります。そして、レジが混むことも多いため、レジで、しばらく待たされたあげくに、『BCI-24』が品切れとわかった時には、それは、なんとも言えないトホホな気持ちになってしまいます。

これは何かロジスティックスに問題があるのではないか、などと考えたりもしたのですが、そうこうするうち、インクどころか、キヤノンのプリンター本体も、店頭から消えていることに気がつきました。無いんですよ。家電量販店(The Currys Digital)の店頭には、キヤノンのプリンターが。あるのは、エプソン、レックスマーク、HPの3社だけ。

ちょっと気になって、ロンドンの秋葉原と呼ばれる(と言ってもショボイところですが)トッテナム・コート・ロードの電気街を回って見たのですが、エプソン、HPが圧倒的なシェアで、キヤノン製は、プリンターも複合機も、ごくたまに見かけるだけ(もともと海外シェアは低いんでしたっけ?)。あとは、レックスマークのほかに、ブラザーもちらほらと。

それで、ごく最近になって、新たに複合機(コピー、スキャナー、プリンター)を購入することにしたのですが、インクの品切れの多いキヤノンは遠慮させていただいて、エプソンの複合機『DX3850』を買いました。価格は69.99ポンド(1万4904円)なり。

London_058 そして、このエプソン『DX3850』のカバーを開けた時に、エプソンが、なぜイギリスで好調なのか、その理由がわかったような気がしました。それは、エプソンのプリンターのインクのパッケージには、クマの絵が描かれているのですが、なんと、その絵柄が、わざわざプリンターの内部にも表示されていたからです。

London_059エプソンのインクは、クマ以外にも、、アヒル、タツノオトシゴ、ヒマワリなど、製品ごとに異なる絵が描かれているのですが、これらがレジの後ろに置かれていても、遠目にも、はっきりと在庫の有無がわかるのです。しかも、「エプソンのクマの描かれたインク」というフレーズは、まず忘れることがありませんよね。プリンターのインクって、ショップなどに立ち寄った時に、「そろそろインクが切れそうだから買わなきゃ」などと、ふっと思い出して買うことが多いのですが、『BCI-24』なんて、アルファベットと数字の組合わせって、覚えていたはずでも、ど忘れしてしまうことが多かったのですよ(そもそも『BCI-24』のパッケージに描かれている「I」って、Iの大文字なのか、Lの小文字なのか区別つかないし・・・。英語圏でビジネスをする上では、何か戦略ミスがあるような気もします)。

それが、「エプソンのクマの絵のインク」ってフレーズは、まず忘れることがないですよね。これならば、知人などにお使いを頼んでも、安心して任せることもできます。コンピュータ関連の製品がコモディティ化(日用品化)すると、誰でも、間違えないで買ったり使ったりできるようにする配慮をいかに盛り込んでいくかが、重要になってきますよね。

Comment(2)