イギリスのTVCM
日本にいた頃は、テレビで放映された映画を見るのはあまり好きではありませんでした。それは、CMが多くて、ストーリーがぶつぶつと切られてしまい集中して見ることができなかったからです。
イギリスの地上波テレビには、国営放送でCMの入らないBBCのほかに、民放が3局ありますが、映画を放送する際に入れるCMは、話の流れを切らないような配慮がされています。
たとえば、22日の深夜に、たまたま放送されていた『ニル・バイ・マウス』という映画で調べてみたら、放映開始から終了までに入ったCMは、わずか3回で計12分。映画の始まりから終了までの本編とCMの時間は、それぞれ本編20分(CMが4分)本編34分(CMが5分)本編39分(CMが3分)本編28分でした。
話のつながりやシーンの展開を考慮して、CMを入れるタイミングを決めているようで、ゴールデン・タイムでも、同様です。これが、法律で規制されているものなのか、それとも単なる慣習なのかはわかりませんが、シークエンスを無視してCMを入れるという無粋なことはしません。
商業放送というものは、もちろんコマーシャルが無ければ成り立たないのですが、だからと言って、日本のように15分に1回CMを入れて映画をぶつ切りにするのが良いことだとは思えません。コンテンツを大事にし、きちんと見てもらう努力を怠れば、ますます視聴者が離れてしまうだけだと思います。
ところで、『ニル・バイ・マウス』という映画は、『レオン』のキレた刑事役などで知られる俳優のゲーリー・オールドマンが、初めて監督した自伝的要素の強い映画です。ロンドンの南に住む飲んだくれの親父の妻に対する暴力や家庭崩壊を描いた、地味で重たい映画ですが、それでも、だんだんと引き込まれていくのは、演出の力でしょうか。