マンチェスター・ユナイテッド(下)
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最後に、マンチェスター・ユナイテッドの世界戦略について簡単に述べておきたいと思います。マンチェスター・ユナイテッドが、英国外で、ファンの拡大を図ってきた地域というのは、
<1>英語圏または英語学習熱が高い
<2>多チャンネルTVが発達(しつつある)
<3>地元のサッカー・リーグが弱い
という三つの条件が揃ったところです。これらの条件にかなう地域といえば、
北米:英語圏かつサッカー後進国
北欧:英語の話せる人が多い
東欧:社会主義崩壊後は英語が第一外国語に
東南アジア:イギリスの旧植民地のため英語が通じる人が多い
などです。東アジアの日本、韓国、中国なども、英語の学習熱が強いと言えます。
マンチェスター・ユナイテッドだけでなく、プレミア・リーグの他のビッグ・クラブも同じような戦略で、英国外のファンの開拓に力を入れています。
これに対し、イタリアやドイツは、ヨーロッパ以外に同じ言語を話す地域が無く、スペインやポルトガルは、つながりの深い南米がサッカー大国のために、進出することはできません。
つまりスペインやイタリアやドイツのチームが毎年のように日本にくるのは、ほかに行くところが無いためです。これに対して、イングランドのチームが、数年に一度しか来日しないのは、日本以外にも、ファンを開拓すべき地域があるからです。
というようなことを踏まえつつ、最近の日本のテレビとインターネットを取り巻く状況を見ると、たとえば「日本プロ野球」というコンテンツは、日本での試合を日本の視聴者に届けるだけのものであり、それはテレビを介そうが、インターネットを介そうが、視聴者が、そのコンテンツにかけられる費用や時間の総和には、あまり大きな変化が無いような気がします。
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