マンチェスター・ユナイテッド(上)
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村上ファンドが提案した「阪神タイガースの株式公開」問題について、「株式を公開すると球団が買収されてしまう」と指摘し、その例として、アメリカ人投資家のマルコム・グレイザー氏に買収されたマンチェスター・ユナイテッドのことを持ち出す方がいます。
しかし、マンチェスター・ユナイテッドのケースを持ち出すのは、あまり適切ではありません。なぜなら、株式を公開していようがいまいが、買収される時は、買収されるからです。
たとえばグレイザー氏に買収される前のマンチェスター・ユナイテッドでは、少数の安定株主が過半数を超える株式を保有していたため、この大株主たちが、納得する買収価格を提示した時点で、買収は成立したも同然でした。
もしこれが、株式非公開のチームであれば、そのチームのオーナーと直接取引をすれば、買収することは可能です。イギリスでは、株式非公開のチームが買収されることも多く、現在は、外国人のオーナーも増えています。
マンチェスター・ユナイテッドのケースでは、株式公開をしていたために、グレイザー氏は買収後の経営計画を公にする必要があり、むしろ買収に時間がかかったとも言えます。
イギリスでは、サッカー・チームのオーナーが変わることは、よくありますが、この点は、あまり問題になりません。むしろ、本拠地を変えることへの抵抗感の方が強いようです。
日本のプロ野球では、オーナー企業の都合で、本拠地を変えることがありますが、こちらの方がファンを無視しているような気がするのですが、これがあまり指摘されないのはなぜでしょうか。
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