広報の立ち位置
以前ある雑誌で、広報の立ち位置として、「企業人としての自分」対「メディア側(読者側)に立った客観的な自分」の割合が7:3くらいが望ましい、というような記事を読んだことがあります。これはなるほど、とうなずける数字です。
私が企業に属していた時、この割合が5:5になったりして、よく悩んだものです。というのも、悲しいことですが、時に「これ、あまりおもしろくないよな」というリリースを出さなくてはならなかったからです。企業としては「リリースしておくべき重要なニュース」であり、企業人としての私はそれをよく納得しているのですが、客観的に見ると明らかに「ニュース性がない」というのもわかっている。こんなとき、独り言のように「さらっと流しておこう」とつぶやいて、配信手配を行います。日々たくさんのリリースを受け取るメディアのみなさんに申し訳ないと思いつつも、お伝えしなくてはならない情報だからです。
私の反省は、もう少し企業人の割合を増やすべきだったな、ということ。「おもしろくはないけど、切り口を変えてなんとかおもしろい情報として出せないだろうか」というようなことをもっと追求するべきだったと思います。そうしたら、素のままの情報よりは価値のあるものになったかもしれません。(ならなかったかもしれませんが・・)
一方で、いつも客観的な目線を忘れないようにも心がけています。企業内でいつも広い外の世界とつながっていられるのが広報という立場なので、社内に客観的なコメントを進言できるからです。「手前味噌」にならないためには重要です。内 対 外の割合には個人差があると思いますが、企業に属しているという前提であれば、私見ですが、やはり7:3もしくは6:4程度が望ましいのではないでしょうか?個人的には6:4あたりをキープしたいと思っています。
それから、企業に属している広報担当者と、外部の広報代理店や私のようなフリーの広報コンサルタントでは、同じ仕事をしていても立場が若干異なります。外部の場合には、前述の2者にクライアントという3者目の存在が加わりますから、クライアントを内ととらえるか外ととらえるかで対応が変わってくるでしょう。理想的には、6:4:5(自社または自分:メディア:クライアント)くらいの比率が望ましいかなと思います。あくまで、自社または自分の役割や技能が確立されていていて初めて良いサービスというものが提供できるので、この割合が一番大きくなります。
だらだら書いてしまいましたが、広報活動には「これしかない」という定義がないので、企業の体質やみなさんのキャラクターにあった立ち位置を発見されるといいと思います。