IT部門を子会社化した意味
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大企業のIT部門は、1980年代から90年代にかけて子会社化されたところが多い。長引く不況の嵐を受けて、IT部門も外で稼いで来いというのが経営側の判断だったと思う。しかし、実際には、なかなか外の仕事を受注できるほどのしたたかさはなく、売り上げの大半を親会社の仕事に頼ったというのが実情だ。たまに外部の仕事をしても、大赤字になったりすることが多かった。
子会社化するメリットは、自社で得たノウハウを利用して、他社にビジネス展開できること。自社では当分投資ができないので、他社で実績を積んで、次期自社システム再構築の技術基盤を確保しておくこと。この二つだと思う。デメリットとしては、有名企業に入社したつもりが子会社に転籍になってしまった、というモラル低下。親会社の仕事でも利益を出そうとするので、トータルで経費増になる。外部の仕事に目が行き、親会社の仕事がおろそかになる。分社化後入社してきた社員は、親会社に対する帰属意識が少ないので、つっこんだシステム設計や、思い切った提案ができない。遠慮がある。親会社と外部のSIerの仲介役のようなトンネルでしかないこともある。
大成建設では、子会社化した大成情報システムを親会社に吸収した。その結果コストダウンとモラルの向上につながったという。
仕事の仕方を考えるということは、どうコンピュータを使うかを考えることであり、もはや分離できないのだから、身内に専門家がいるということは重要なことだと思うのだが。
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