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プログラミングでメシが食えるか!?

2020年度下期の業績

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2020年度下期の業績がほぼ確定できましたので、振り返ってみます。例によって会社全体ではなくIT関連だけの業績で、ゴルフとあるのはゴルフ練習場システムのソフトウェア関連です。

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収入から支出を引いただけのざっくりとした利益を粗利としていますが、2020年度下期は過去最高の粗利でした。

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内訳としては不正接続対策のIntraGuardianシリーズが例年通り良い数字で、DHCPサーバのProDHCPシリーズがそれに続きます。ゴルフも製品関連ですので、受託仕事の割合はかなり少なくなりました。

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もう少し長いスパンでざっくりと見てみると、2012年までが受託中心、その後2013年にゴルフの大きな仕事がありましたが、2014年から一度業績が落ち込み、その後は右肩上がりで製品関連を伸ばして業績を伸ばしました。ちなみに、IT関連メンバーの人数はほぼ変わっていません。一人あたりの稼ぎとして考えれば10年前の2倍以上稼いでいる感じです。

製品関連は、販売したこと自体の稼ぎもありますが、サポートの収入も多いのです。サポート体制を維持するコストはもちろん大きなものですが、製品の販売数が増えるに従って毎年のサポート費が増えますので、販売したときだけでなく、その後も積み上がっていくのが重要です。

受託開発ではどうしても仕事をやった分しか稼ぎがありません。たまに完成後のサポートを依頼されることもありますが、製品とは件数が全く違いますので、全体で考えると「かけた時間分の稼ぎ」となります。製品のように「時間とは無関係に売れた分と保守の分」とは稼げる額が全く変わります。もちろん、売れなければゼロという怖さもあります。

私は平成元年(1989年)に入社し、1991年に自分で事業部を立ち上げ、パターン設計用CADシステムの開発販売→受託開発→製品開発販売と事業の主体を変化させてきました。

CADシステムの開発販売の時期はほとんど売れずに大赤字でした。たかだか25歳くらいの若造が課長を名乗り、会社間の取引のことも分からないのに自分で開発しながら定価580万円のCADシステムを販売するというのは今考えても無理だと思いますが、そもそも電気系CADシステム業界は非常に閉鎖的(ビジネス的にもシステム的にも)で、自分自身でも好きでなかったということもあります。

受託開発では、CADシステムの開発に比べればあまりにも技術的に簡単な仕事なのに、資料作りやテスト工程など時間ばかりかかるとは感じたものの、孫請けから下請けへと徐々に大手SIerと直接仕事をできるようになりました。1996年から黒字化し、複数の仕事を平行してこなすことで平均人月180万円くらい稼いでいた時期もありますが、それ以上はなかなか難しく、逆に仕事の隙間が空いてしまうとすぐにマイナスになってしまう怖さから、半期ごとに神頼みをしていたくらい精神的に追い込まれました。なにしろ、私自身が複数の開発仕事を担当しながら仕事も集めていたわけで、それなりに稼げていながらも常に追われる精神状態でした。さらに、オフショア開発など海外との人月単価競争も厳しくなる中、受託仕事をこのまま続けても徐々に厳しくなるのではないかと悩んでいました。

その後、下請けの裏方仕事ではなく、自分たちが表に出られる仕事をしたいというメンバー達と2006年頃から自社製品開発販売を立ち上げ、ゴルフ練習場向けシステムのソフトウェア関連も引き受けつつ、徐々に受託仕事から製品開発販売へと移行しました。

それぞれの移行期間はなかなかスパッとは切り替えられないものです。移行中も稼がなければ給料が出せません。判断も難しいですし、平行して仕事をこなす苦しさもありました。「本当に売れるかどうか分からない製品開発販売に舵を切って大丈夫なのか?」ということもさんざん言われました。結果としては舵の切り方は正しかったと思いますが、確信を持っていたわけではありませんでした。

上手くいくコツだったと思えるのは「やってみたこと」でしょう。本当に成功するかどうかなど誰も分かりません。それでも、とりあえずやってみれば今まで見えていなかったことが見える状態になります。それを繰り返すことで、やってみた人にしか分からないことが分かるようになり、それが成功する答えを見せてくれるのだと感じています。

また、やってみてもがいていることを発信していると、共感してくれたり一緒にやろうと名乗り出てくれるパートナーとも出会えます。製品開発販売は自分たちだけではここまで来ることはできませんでした。ソフトウェアの開発に関しては自分たちの得意分野ですが、作るだけでは売れません。良いパートナーと出会えることが我々にとってはとても重要なことでした。

さて、製品も放置しては売れ続けません。お客様・パートナー様が喜んでくれるような進化をしなければなりません。製品は売れるほどニーズも幅広く見えてきますので、何を作っていけば喜んでもらえるかも売れるほど分かるようになります。現状も開発したい内容はそれぞれの製品で山のようにあります。しかし、開発をできるメンバーが全く足りていないのが困ったところです。ソフト開発は誰でもできる仕事ではありません。向いている人とそうでない人では天と地ほどの差がでる仕事です。しかも、自社製品ですので、言われたとおりに作るだけでなく、自ら生み出すような人でないとなかなかうまく進みません。売り方も何を作るべきかも分かっているのに開発できる人が足りないというのは、これから製品開発販売をやりたい人からすれば贅沢な悩みかもしれませんが、じっくりと解決していかねばと考えているところです。

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