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プログラミングでメシが食えるか!?

古い万年筆のキャップ(セルロイド)の修理は大変・・・

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万年筆趣味の深み・・・?」の続きです。

ペリカン100nは、ピストンなどはすっかり調子がよくなったのですが、キャップのひび割れを何とかしようと思い・・・

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こんなものを買いました。本来は植物の葉脈などを観察するための、スンプ法のキットなのですが、スンプ法ではセルロイドと酢酸アミルを使います。セルロイドの接着には酢酸アミル、ということなので、酢酸アミルを探したところ、このスンプ法の道具が見つかり、買ってみたのです。

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買ったときの状態です。直そうとした接着剤の後がある感じですが、セルロイドはいろいろ試してもほとんど接着できません。

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スンプ版(セルロイド)にスンプ液(酢酸アミル)を垂らして、指を押しつけるとこんな感じで写し取れます。これを顕微鏡で観察するのが本来の使い方です。スンプ液は2種類あり、片方はもともとセルロイドを少し溶かしてあるものです。ちなみに、酢酸アミルはかなり臭いです。

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まずは怖いので、セルロイドが溶けている方のスンプ液を塗って、乾いてからラッピングペーパーなどで仕上げました。

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綺麗についているように見えますが・・・

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ペンの後ろにはめると、隙間があります。スンプ液でセルロイドは溶けるのですが、プラスチック用接着剤のようにどんどん溶けるわけではなく、なかなか溶けない感じです。

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そこで、細く切ったスンプ版をあらかじめスンプ液で柔らかくなるまで溶かし、それを割れているところに差し込み、さらにスンプ液をたっぷり塗りながらピンセットで溶けかけた樹脂を混ぜるようにします。裏側で念入りにやっていたところ、実は黒くするための塗料(?)も邪魔をしている感じで、それも剥がしながら樹脂をできるだけ混ぜました。

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だいぶしっかりついた感じですが、実はこれでもまだ微妙にヒビが入ります。

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スンプ液はこんな感じにたっぷり塗ってもなかなか溶けないのです。。

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何度かセルロイド入りスンプ液を塗りましたが、それでもひび割れますねぇ。。

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セルロイドを溶かすといえば、アセトンもよく溶かすらしいので、娘のところに行き、「一番安くて強力で臭い除光液、貸して」と言ったところ、「強力ではないと思うけど・・・」と出してくれたのが100円ショップで買った2本。成分には見事にアセトンと書いてあるのでバッチリです。最近のマニキュアはアセトンを使わない、爪に優しいタイプが高級品では多いのだとか?「使わないのであげる」ともらってきました。

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スンプ版に除光液を垂らすと・・・見事に溶けます。スンプ液より断然溶けますが、かなり強力なのでしくじるとまずそうです。

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除光液でドロドロにしたスンプ版をヒビの箇所に盛りつけます。スンプ液よりかなり強力ですが、仕上げも大変そうです。

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まあ、なんとか綺麗にしましたが・・・

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さらにセルロイド入りスンプ液も持ってでこぼこを目立たなくしておきました。まあ、これで様子を見ることにします。

万年筆の修理は化学の勉強にもなりますね!?

大学時代、工業化学専攻でしたので、アセトンはよく使いました。当時はかなりの脂性でしたので、アセトンで手を洗ってもびくともしませんでしたが、今ではかさかさになってしまうでしょうねぇ。個人的には有機溶剤ではアセトンの香りが一番好きでした(?)。

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さて、いろいろ揃ってきたので、書き比べてみると・・・

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筆ペンと、1950年代のモンブラン146はほぼ同じ太さで書けるのですねぇ・・・。昔の万年筆はよくしなるものが多かったのです。最近は硬いものがほとんどです。

オタク話でした。

===2015年5月2日追記===

ビンテージ万年筆専門店に行った際に、セルロイドのひび割れ接着はどうするのがよいの?と伺ってみたところ、「基本的には接着できない。着いたと思っても剥がれる。」と。。キャップの端は力がかかるところなので接着では無理、とのことでした。そこで少し閃き、またチャレンジ・・・。

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セルロイドが縮んでしまっているので、本体のお尻側にはめたときに広がり、せっかく接着されているところが剥がれるので、そもそも少し広げて接着してみました。最初は本体のお尻側にはめて、とやり始めたのですが、酢酸アミルが本体側にも染みてしまい、本体側が傷んでしまうので、ペンチの持ち手をちょうどよいくらい差し込んで。酢酸アミルを塗ると接着していたところが剥がれるので、そこにセルロイド板を細く切ったものを置き、溶かしながらたっぷり塗ります。

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セルロイドは酢酸アミルを塗ってもそう簡単には溶けないので、何度もしつこく塗っては溶かし、セルロイド板がキャップと馴染むように繰り返します。

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一晩おいて、綺麗に仕上げます。これならもともときつきつではないので、接着したところに無理な力がかからず、少しは剥がれにくい感じです。

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ペン先にかぶせる側はネジで固定され、キャップの端は接していないのでこの状態は接着箇所に負担がかかりません。

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まあ、こんなものでしょう。。

このブログを万年筆好きの方が見て、「痛い直し方だ」とつぶやいていたそうで、一応もう少しマシにしてみました。キャップの端は接着では厳しいので、本当はまともなキャップから切り出して、付け替えるのがよいのだそうです。ジャンク品があればそれも良さそうですが、そもそもあまり程度が良くないものを安く入手したので、ごまかしながら使います。

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