著書が生まれるまで
今週は著書の発売日(6月5日)なので、著書ネタで。。
前作は「ルーター自作でわかるパケットの流れ」で、2011年7月9日発売でした。その後10月頃には自作のアイディアを編集の方と相談していて、12月上旬には企画が通ったと連絡をいただいています。
私の場合、これまで秀和システム・ピアソン・技術評論社の3社から出版していただき、3人の編集担当の方にお世話になってきましたが、1作目以外は出版までの流れは似た感じです。1作目だけは私が個人のホームページで公開していた「C言語講座」を見かけた編集の方から「その内容を膨らませて本を書きませんか?」と2000年5月10日にメールをいただいたのがきっかけで、9月には発売されていましたので、かなりのスピードで書き上げました。翌年には2作目を発売しましたが、2作目からは基本的に、私が「こんな内容なら書けますが、どうでしょう?」と編集の方に相談したり、あるいは編集の方から「こういう方向性で書いてみませんか?」と声をかけていただいて、私の方から目次のような案を出してみて、という感じで書き始めました。大体企画のOKが出てから3ヶ月くらいで書き上げてきて、ちょうど1年に1作のペースで11作目まで書いてきました。
12作目の本作は・・・企画が通った翌年2012年の7月になってもほとんど進まず「仕切り直ししましょう」と打ち合わせを行い、それでも進まず、2013年の4月に「再始動しましょう」と打ち合わせを行い、まだ進まず、2013年9月にさらに打ち合わせ、2014年1月には何となくネタは揃ってきたものの、ボリュームも足りず、また打ち合わせて、ようやく2014年4月にほぼ仕上がった感じでした。3年も苦しんだのですねぇ。
私の著書は2パターンあり、「プログラミング技術本」と「プログラマー仕事本」という感じです。技術本はテーマさえ決まれば淡々とサンプルソースと解説を積み上げていけば書き上がります。ソースもそれなりに掲載するとページも意外と稼げます。仕事本の方はひたすら文章を書かねばならず、気分が乗るかどうかで書き進むペースがかなり違います。以前は業界に対する不満やプログラミングの仕事に対する熱い思いが強かったのか、結構なペースで仕事本も書きましたが、今回は筆が進みませんでした。理由としては、「本業で新製品・海外展開などチャレンジばかりで精神的余裕がなかった」「自社内も大忙しで、自分もメンバー達も疲労困憊し、とてもマネージメントされた状態とはいえず、偉そうなことを書く気になれなかった」という感じでした。
実は当初はもう少し技術系の読み物にする企画だったのですが、私が「技術力があっても使えない人ばかり」「技術力よりコミュニケーション能力などの仕事力・人間力」と編集の方にぼやき続けた結果、「そういう方向も面白いのでは?」「一番言いたいことを書くことが、一番読む人のためになるものです」と励ましていただき、それなら思い切って自分の経験を暴露しようと思ったのでした。もともとこのブログなどで自分の考えや行動はほとんど暴露してしまっていますが、本になると「流れとまとまり」が編集の方の腕によりできるので、また違った役目もあるだろうということで。
「3年かかった割には、こんなもの?」と思われてしまうかもしれませんが、今回は今までで一番悩んで書きました。毎回書き終えると「2度と書きたくない」と思いますが、今回も苦しかったですねぇ。でもヒルクライムと一緒で、苦しくても少しするとまたやりたくなるのかもしれません・・・?